妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

教師の学歴と生徒の学力との関係

こんにちは。新年度になり、心機一転ですね。これからもよろしくお願いします。

僕は先週後半にかぜをこじらし、数年ぶりに高熱でアタマがぼけーとなることもあったのですが、今日は、やっと本なども読む気力が回復してきました。著者のがんばりや成果には敬意をもちつつも、一方で、このおっちゃん(著者)の言うてることはほんまかいな?根拠うすいんちゃう?という目で読むと、たいがい、いろいろ突っ込みどころはでてきますね。たぶん、これは関西人の方は得意になりやすいかもしれません。

でも、まあ、そうやって読んでいると、早く読めないし、少々くたびれます。 仕方ないですね。スポーツなどでも、本気の練習は大変なもんです。

ところで、国語のテストも、「著者の述べていることのうち、あやしいと思う箇所を抜き出せ。また、その理由を述べよ。」みたいな問題だったら、おもしろいかも、なんて帰りの電車で考えていました。授業も盛り上がるのではないかな?


性格のわるい子が育つ? なんも考えなしに攻撃的になる人よりはよいと思いますけどね。


一例をあげますね。今日買った本で、佐藤学先生の新刊『専門家として教師を育てる』は、重要な指摘をたくさんしてくれています。しかし、よく読むと、根拠があやしいんじゃない?と思う箇所がときどきあります。東大名誉教授にけんか売るのもなんですけどね。(佐藤先生の本全体を否定する意図はまったくなく、いろいろ勉強させていただいていますし、先生の本は、他のも含めてかなり好きです。)


日本の教師が危機にある、と先生は述べていますが、その背景のひとつとして、国際的に見れば、日本の教師の学歴は高いとは言えないことに注目しています。社会や生徒の環境が変化し、教師の専門的知識はますます求められるようになっているのに、「日本の教師教育のレベルは、アジア諸国においても世界的に見ても、最低レベルである」と主張されています(第1章)。

根拠となっているのが、TIMSSという国際調査(2011年)。中学校2年生の数学の教師の学歴をみると、修士以上卒の先生にあたっている生徒の割合は、日本は9%なのに、韓国は37%、アメリカは62%、フィンランドは78%などなどで、大きく出遅れているぞ~というわけ。


いや、ちょっと待てよ、と思いました。別に修士や博士までいかなくても、ちゃんと学部で勉強してたらいいし、教師になった後の勉強のほうが授業や生徒指導の力量には影響するんじゃないか、という点がひとつ。もうひとつは、教師の学歴が高い国順に並んでいた表をみて、上位国がフィンランドなど一部を除いて、あまり生徒の学力は高くないじゃないか?という疑問をもちました。


そこで、さきほどのTIMSSの数学教師の修士卒の割合と、PISAの数学の平均得点(2012)との相関を見たのが、次の図。両方の結果がある国・地域28サンプルです。図はクリックすると大きくなるはず。

散布図を描くと、直感的にはあまり相関が強いとは見えないですね。目安として相関係数は0.34。ほんとは厳密に検定しなきゃいけないのだろうけど。日本やシンガポールは教師の修士卒は約1割に過ぎないけれど、生徒の学力は世界トップレベルです。


もちろん、これをもって、修士号をとっても無駄とか言いたいわけでもないし、言えるとも思いません。また、教師の専門性がますます重要になってきているという指摘自体はそのとおりだと思います。言いたいのは、周りの国の先生の高学歴化が進んでいるのに、日本は遅れている、やばい!っていうのは、ちょっとシンプル過ぎる、雑な議論ではないでしょうか?という疑問です。


本書のほかの箇所の感想はまた改めてレポートします。

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