妹尾昌俊アイデアノート

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(読書ノート)ラオスにいったい何があるというんですか?

村上春樹さんの最近出たばかりの新刊、『ラオスにいったい何があるというんですか?』。これは紀行文で、フィンランドトスカーナ、熊本など、彼が訪れた旅先のエピソードをまとめたもの。

あの『ノルウェイの森』を書き始めたというギリシアのミコノス島に実に四半世紀ぶりに訪れた話など、とっても興味深いし、本書のタイトルになっているラオスの話も面白い。でも、僕が一番気になったのは、アイスランドについての章「緑の苔と温泉のあるところ」。まあ、温泉好きなんで気になったというところもあるけれど、これを読むと、アイスランドに行ってみたくなった。

アイスランドは人口約32万人の小さな国。でも村上さんの小説がいくつかアイスランド語で翻訳されているように、人々はよく本を読む(英語ができる人も多いが、アイスランド語を大事にしているらしい)。人口の割には、大きな書店などもかなりあるそうだ。首都のレイキャビク(人口12万人)だけで、340人も作家が登録されているらしい。冬が長くて屋内で過ごす人が多いというのも影響しているとのことだけど、理由はそれだけではない気もする。そして、アイスランドが特徴的なのは、本だけではない。

とにかく、アイスランドは人口のわりに画家が多い国であるらしい。この国の人は、歌を歌ったり(人が集まるとすぐに合唱になる)、詩や物語を書いたり、絵筆をとったりすることが生活の一部になってしまっているみたいだ。みんなが多かれ少なかれ、なんらかの芸術活動に携わっているのだ。受信的な大量情報が中心になって動いている日本からやってくると、こういう発信的情報に満ちている国はとても新鮮に見えるし、同時にちょっと不思議にも見える。(p.60-61)



このあたりの下りを読むと、なんだか、アイスランドってかなり幸せな国なんじゃないか?と思ったりする。冬の厳しさはおそらく想像以上なのだろうけど、創造的な活動と近い暮らしって、なんだかステキだ。


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