妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

(読書ノート)主任から校長まで学校を元気にする チームリーダーの仕事術 

小中高の教職員に4月に強くおススメする本

玉置崇著『主任から校長まで学校を元気にする チームリーダーの仕事術』(2015年)を紹介する。

学校関係者はあまり読まないかもしれないが、「○○を成功させる本」、「○○なリーダーになる本」など、仕事術、リーダー向け自己啓発書は、かなりの数にのぼる。僕もいくつかは読んでいて、教職員や公務員の方にもかなり参考になるものもある。

一方、やはり、民間のノウハウが簡単に学校や行政に通用するほど、世の中甘くないのも確かだ。僕自身も霞ヶ関勤務を経験したことからも、これは実感をもっている。

例えば、仕事の優先順位の決め方は、はるかに民間のほうが行いやすいだろうと思う。儲かるか、費用対効果は高いか、将来の顧客獲得や人材育成など中長期でよい投資になるかなど、ある程度基準がはっきりするからだ。しかし、学校では、こうはいかない。「子供のためと言ったら、あれも大事、これも大事。あっ、そういえば、この書類の提出は今日までだった、やべ~」なんてことになる。

同じ理由・背景で、リーダーの役割や部下への働きかけ、マネジメントも、おそらくだが、学校や行政のほうが、企業よりも個人差が大きいのではないか(ぜひ実証調査してみたいものだ)。そして、学校では、数学や英語の教授法などを教えてくれる人やテキストは豊富だが、職員のマネジメント術ましてや、リーダーはどう働くかを具体的に語ってくれる本は、かなり少ないと思う。この点で、本書は珍しく、かつ、当時やり手の校長と評判だった玉置崇さん(現在は大学の先生)が現場目線からノウハウを公開してくれている。たいへんお買い得である。

※理念的、理想的に学校リーダーについて説く本はけっこうあるが、役立つのだろうか?また、ドラッカーなどを引用して学校にも適用する論も多いが、これも具体的に解説してくれないと、現場の人には響かないだろう。本書の内容とはそれるけれども。

 

できる教師にはワケがある!

本書でとくに印象深かった箇所をいくつか引用しながら、妹尾のコメントもつけたい。

仕事が早い人は、仕事は模倣から始まるということをよく知っている。仕事にはオリジナル性が必要な部分もあるが、過去と同じでよい部分もかなりあるはずだ。(p19)

(妹尾コメント)教職員の多忙化が昨今大変注目されている。いろいろな理由や止むを得ない事情もあろうが、「もっと真似したらよいのに」ということはないだろうか?ある高校でヒアリングしたときに、「ある校務分掌の担当に初めてなったのだが、過去の記録がほとんどなくて困った」という声を聞いたときには、「ホンマでっか?」と聞き返したくなった。

前例踏襲は固定的でいけない、と批判されるが、一概にそうではない。過去に相当検討してそうなっていることもあるから、まずは過去から学び、その後で、必要なら修正や新しい企画を立てたほうが賢い。また、本書でも述べられているとおり、自校に関連書類がないなら、他校に聞いてみよう。

 

要・不要を分別し、勇気をもって仕事の効率化を図るべし。(p.35)

本書では玉置さんの校長・教頭時代等の実践事例が豊富だ。業務の見直しを図った例は、言われてみれば、なるほど!というものだ。このあたりは前例踏襲を見直す好例と言えよう。

  • 開校以来65年間、年2回発行していた学校新聞を廃止(年2回なので時機を逸した記事もかなりあった)。
    ⇒ホームページで随時発信。
  • 生徒手帳を廃止。印をおすのは相当の手間、しかも値段もけっこうする。生徒に聞くと身分証として使うが、手帳欄は使わないという。
    ⇒身分証明書を生徒データベースからカードに打ち出す形式に変更。

 

 リーダーの役割のひとつは場づくり

以前は「ストーブ談義」というものがあった。・・・(中略)・・・私はストーブを囲んで、先輩教師たちと他愛もない話をどれほどしただろうか。・・・ストーブが教師間の距離を縮めてくれていた。まさに教師同士の関係を温かいものにしてくれていた。だが現在は、エアコンの前に集まるわけにはいかない。・・・ストーブに変わるものを考えたとき、一つ見つけた。それは、休日どこかに出かけた際に、訪れたところの名物お菓子を持ち寄るというものだ。(p.43)

この記述は「日々のちょっとしたゆとりを大切にする」という見出しのなかにある。とても共感する。こうした点に気配りできるリーダー(別に職位に関係なく。管理職だけがリーダーではない)だと、働きやすそうだなあ。ちなみに、気軽に聞いたり、相談したりできる場や人間関係があるかは、個人だけではなく、組織全体のパフォーマンスにも影響することが経営学でも研究されている。

詳しくは、本書をぜひ読んでいただきたいが、引き継ぎのためのファイリングの方法、”我関せず”職員の巻き込み方、(学年主任向け)方針がぶれないようにするための仕事術なども、とても参考になると思う。

ひとつの項目に2~3ページなので、気軽に読み進められる。ただし、その分、前述した、仕事の優先度の考え方や引き継ぎの方法などは、もう少し踏み込んで知りたいとも思った。個人的には、教職員の仕事術をテーマに、玉置先生といっしょに研修会をやってみたい。

新しい学年、学級がはじまった4月。この時期や5月の連休に仕事の仕方を見つめなおしてみてはどうだろうか?

◎こちらの仕事術本もかなり面白いですぞ。

 久保田崇『官僚に学ぶ仕事術』は、キャリア官僚(当時)の筆者(後に陸前高田市副市長、現在は大学教授)が霞ヶ関での仕事の進め方、時間の使い方、人脈の考え方などを解説した、これまた稀有な一冊。民間企業の人間が読んでも、実はかなり勉強になる。

 

出口治明『「働き方」の教科書』はメインはタイトルのとおり50代向けのメッセージだが、20代、30代の方が読んでも、大変刺激になる本。仕事のノウハウ本ではなく、心構え、マインドセットという本だが、出口さんの性格か、まったく嫌味がないし、読んでいて、すがすがしい気持ちになる。

 

◎ついでに自分の本もPRすると、『変わる学校、変わらない学校』では、学校の教職員が陥りがちなマネジメントの失敗、停滞要因を、3つの視点から診断、解説。「うちの校長に読ませたい」という声を多くいただいております。

変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道

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