妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

言われたら当たり前のことも3つくらいで整理する

夕食をつくる前に、ちょっとだけブログ書いておきます。積読が(順調に?)たまってきていますが、地元の逗子図書館に行ってみたら、けっこういい本がたくさん置いてありました。自分の本棚とかぶるものも多くて、これは買わなくてよかったかも、と思うときもありますが、自分も本を書くという経験してみて、膨大な投入時間と脳みそをあれこれ使ってきたことを思うと、どの本もそう高いものじゃないかなとも、本気で思うようになりました。みなさんは、夏休みの間に何か面白い本を見つけましたでしょうか?

読書会もやりたいなあ(やりたい人はコンタクトください)。それから、ちょっとした書評サイトをつくろうと思っていますが、育児と仕事、遊びの合間に作業時間を確保せねばです。

さて、図書館で一部分を読んだ1冊として、『現場論』を紹介します。著者の遠藤功さんは『現場力を鍛える』という本が10年以上前にベストセラーになりましたが、この本では、現場力を高めるための考え方や方法を体系的に非常にわかりやすく整理してくれています。

現場論: 「非凡な現場」をつくる論理と実践

現場論: 「非凡な現場」をつくる論理と実践

 

現場力は、トヨタ自動車などでも言われることですが、製造業の工場などに限った話ではありません。サービス業、それから僕が好きな学校現場などでも試されることです。例えば、学校で言えば、教職員の関係性がよくて、より生徒に考えさせるような授業に向けて学び合っているような組織では、現場力が高い、と言えます。運動会での進行、段取りの良さなんかも現場力に入れてもよいかもしれません。

まあ、なんでも「現場力」と言ってしまえば、入ってしまうような要注意の概念でもありますがね。リーダーシップ、マネジメントなども同様です。

それで、僕がなるほどなあと強く思ったのが、企業等の現場の能力には3段階ある、と著者が述べるシーン。「保つ能力」、「よりよくする能力」、「新しいものを生み出す能力」です。

「保つ能力」とは、ルーティーン業務などを確実に遂行する能力を指します。それで、この「保つ能力」を土台にないと、「よりよくする能力」も育たないし、「よりよくする能力」がしっかりしていないと「新しいものを生み出す能力」もそうそう大きくならないよ、という話。

このあたり、「なーんだ、ごくごく当たり前のことを言っているだけじゃないか」と思われる方も多いと推察するのですが、僕は「よくすっきりまとめてくれた」と感心しました。当たり前のことでも、ちゃんと浸透するかと言えば、そうとは限りません。凡事徹底が一番むずかしいなんて言う経営者もいます。で、当たり前のことでも、ちゃんと頭に入りやすいように発信することって大事だと思うのです。

僕がうまくいっているかどうかは分かりませんが、講演や研修のときはこのことを強く心がけています。拙著『変わる学校、変わらない学校』でも全体を通してカギとなるのが、3つの視点です。「到達目標の共有」、「プロセスの設計」、「チーム・ネットワークの構築」なんですが、これなども、ごくごく当たり前のことです。しかし、これらの1つ2つ(場合によっては3つとも)がしっかりしていない学校がとっても多い、と僕は観察しています(いくつかのエビデンスは本の中でも紹介しています)。

変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道

変わる学校、変わらない学校―学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道

 

 ところで、よい理論かどうかを測るひとつの観点は、「レバレッジ」ということらしいです。レバレッジとは、梃の作用を指します。つまり、なるべくシンプルなことで多くのことや真理を説明できるものはよい理論というわけです。

遠藤さんの本の現場力の3つの能力は、様々な業種や場面で応用できそうなので、レバレッジがいいなあと思いました。しかも、ルーティーンが大事とちゃんと言うところも、(当たり前のことですけど)大事なことですし。今度教職員の方向けの研修のときにこの3つの能力の話をしてみて、感触を聞いてみようと思います。

ある学校経営の理論では、効果的な学校づくりを進めるうえで8つのポイントがあります、と述べています。それはそれで正しいのかもしれませんが、ちょっと覚えるのはしんどい数です。なので、自分の本では3つの視点にしました。

ついでに言うと、よい理論では、みんなが常識、真理と思っていたことが、実は違うんだぜ、という論法も効果的です。当たり前と思っていたことが実は当たり前じゃないんだ、とか、一見常識に反するようなことにコツがあるといった論です。

最後に、なんか、自分の宣伝めいた感じになりますが、今日ちょうど『変わる学校、変わらない学校』が再度重版になったという連絡がありました!応援いただいている方々、ありがとうございます。これからの方も、よろしくお願いします~。

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