妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

朝ドラ「とと姉ちゃん」の戦略論(1)何のためのものか?

こんにちは。ここのところすっかり更新が滞っていましたが、うちの小学生3人の夏休みも終わり、(僕の)時間も増えましたし、いろいろ再開します。

もう9月で、もうすぐ終わってしまうのですが、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」をとっても楽しみに子どもたちと見ています(録画してる)。

このドラマは、実在する出版社の創業者大橋鎭子(しずこ)さんがモデルとなっています。彼女は1948年に日常生活を便利にするヒントをたくさん載せた雑誌をはじめます。これが「暮らしの手帖」です(ドラマでは「あなたの暮らし」)。戦後間もない物資の少ない時期に、着物やちょっとした布をもとに家庭で簡単にワンピースにする方法を紹介したり、家庭でできる西洋料理を紹介したり。ホットケーキを一般家庭に広めたのも「暮らしの手帖」だと言われています。

f:id:senoom:20160907094715j:plain

「暮らしの手帖」は、全盛期は100万部を超える大ヒットとなりました。なぜここまで支持され、今にまで続くロングランとなっているのでしょうか?

「暮らしの手帖」の成功の裏には、優れた「戦略」があったと思います。先日、教職員の方向けの研修でも少しお話しましたが、学校の運営やマネジメントにも大いにヒントになる2点について解説したいと思います。

 

ミッション経営(“単なる雑誌じゃないんだ”)

「暮らしの手帖」の創刊号から現在の最新号に至るまで、一貫して載っているメッセージが写真の「これはあなたの手帖です」から続くメッセージです(写真)。

f:id:senoom:20160907094623j:plain

ここからわかるのが「暮らしの手帖」は人々の暮らしを豊かにすることに貢献する、という思いです。ドラマでも描かれていたとおり、多くの人々が暮らしを大切に思えるようになれば、暮らしを破壊してしまう戦争のようなことをしようとは思わなくなる、という思いが込められているのです。「暮らしの手帖」を支えた敏腕編集長・花森安治さん(ドラマでは唐沢寿明さんが好演ですね)は、社員に度々こう檄を飛ばしていたそうです。「暮らしの手帖は単なる雑誌じゃないんだ。 この国の暮しをよくする運動なんだ」。

 

 このように、何のための会社なのか、何のための仕事なのかということは大変大切です(「ミッション」とも言います)。単に主婦に便利な情報を伝える雑誌と思って仕事するのと、暮らしを、社会を大きく変えるかもしれない仕事をしている、と思って仕事をするのでは、給料などが同じだったとしても、仕事への意欲も求められる成果もまったくちがってくるでしょう。

別の業界でも似たような話があります。衣料品を売るお店で、従業員を単に販売員と位置付けるのか、それともお客様のファッションをコーディネートする仕事と捉えるのか。単に販売員だと、たくさん売ることばかりに関心がいきやすくなりますが、コーディネートする仕事と考えるなら、顧客の相談にのったり、提案したりすることが視野に入ります。

ヤマト運輸でも、配達する人のことを配達員とは言いません。セールスドライバーと言って、現場の情報を活かした営業や企画ができる人としています。一人暮らし高齢者の見守りを兼ねる買い物支援サービスなどは、あるセールスドライバーの企画と実行力で生まれたものです。

そもそも論を大切にしたい

学校運営でも、この仕事は、この校務分掌は、この活動は、この行事は、何のためにあるのか、そもそも論をよく突きつめて考えてみることがもっと必要ではないでしょうか?

何のためかがはっきりしないから、やらされ感や多忙感の募る仕事が多くなってしまいます。とくに研究指定校などのモデル事業などは要注意です。指定を受けているからやらざるを得ない、公開研究会の準備はめちゃくちゃ入念にやるけど、その後疲れてしまって、十分活用されない、指定が終わったり、熱心な教員が異動したりすると、トーンダウンするなんて話も時々聞きます。それでは、なんのための活動だったのか。

また、事務職員や非常勤のスクールカウンセラーらの研修では、わたしは、「あなたの仕事はなんのためのものですか」、「あなたの頑張りはどんなことにつながりますか」と質問するようにしています。ちょっとそんなそもそも論聞かれても、って感じる方も多いと思いますが、自分のしごとをどう意味づけするのかによって、その人の行動はきっと変わってくると思います。決められた、依頼された事務処理をきちんとやる、それももちろん大切です。しかし、それだけで本当によいのか、というところです。管理職からは特に期待されていないし・・・といった場合もあるでしょうけれど、そんな管理職のことは気にせず、自分のチャレンジできる身近なことをまずはやってみて、そこからまた管理職と話しみてもよいのかもしれません。

おっと、長くなりました。事業の戦略話もしようと思ったのですが、続きはまた書きます。