妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

研究授業のひと工夫、ふた工夫

フリーになって自由に動ける時間がかなり増えたこともあって、ちょくちょく学校訪問をさせていただいています。講演・研修などを依頼されたときも、この頃は、どこか学校訪問してもいいですか?とお願いすることにしています。

せっかく多忙ななか集まるんだし、研究授業をクリエイティブに楽しく!

最近訪問した横浜の2校は、いずれもすばらしい校長と教職員チームで、ビシビシ刺激を受けています。今日はそのうちの1つ、永田台小学校のことを少し紹介します。

永田台小学校では、研究授業の後の検討会が形式的なもので終わってしまうことが多いことを何とかしたいという思いで、教員のボトムアップでアイデアを出し、研究授業のやり方を練り直しました。ここのところは、ワークショップで議論するかたちを試しているそうです。僕が参加したときの概要はこんな感じ。

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  • 指導案は1枚で、あまり過大な負担(準備)をかけないようにする。
  • 公開授業の教室の前にはホワイトボードがあって、授業者が”チャレモヤ”を書いている。つまり、チャレンジしたいこと、モヤっとしていて不安なことや悩んでいること。
  • 個々の授業についてのコメント、助言は、付箋でメモしたものをホワイトボードに貼って、授業者にフィードバックする(あまりそこに議論の時間はかけない)
  • 集まって議論するときは、各授業者が聞きたいこと、チャレンジしたけどここはどうしたらよいか悩んでいたり、アイデアをほしいことをまず出す(チャレモヤを授業してみた実感をもとに、もう少し詳しく話す)。
  • その授業者のアイデアや参加者の希望をもとに、テーマをいくつか出して、関心の高いテーマについてワークショップ型で議論する。
  • たとえば、道徳の授業で子どもが葛藤するような投げかけはどうしたらよいか、算数の授業をもとに学びあいはどう進めたらよいか、もっと全般的な話として学校が変わっていくには何が重要か など
  • 大学や教育委員会から助言者がいることに加えて、視察に来ている方など外部の人も入って遠慮なく話す
  • ワークショップでは写真のように、まるっこいホワイトボートを各自がひざ上で支えながらメモする。自然に距離が近くなる。
  • 各グループで議論したことは発表してシェアする。助言者からもアドバイス。最後には、参加者が各自の行動したいことを書いて貼る。

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他人の料理についてあれこれ言う時間にするか、自分の料理を考える時間にするか

このように、いろいろと工夫されていました。個々の授業について細かく深く検討するというのもよいと思いますが、この永田台の実践のように、参加者が関心の高いテーマでアイデアを出す、クリエイティブな、建設的な場にしていくという時間もいいものです。

そういえば、『学習する学校』というとても厚い本(僕はとても全部読めません・・・)に、こんな好きな一節があります。

学校は、命令や指令、強引な順位付けではなく、学習の方向付けを導入することで、持続可能性のある、生き生きとした、創造的な場に変えられる。

授業した人はまな板の鯉、それを周囲の人がこう料理したほうがよい、いやそれだと薄いとか言うのが、よくある研究授業のパターン。もしくは、授業以前の指導案というレシピについてとっても時間をかけて、あーでもない、こうでもないというのも多い。

僕はそれが悪いと言いたいわけではありません、ただ、そればかりでもどうかなとは思います。

永田台でやっているのは、みんなが自分事として、自分はなにを料理しようか、他の人のアイデアを参考にしながら考える、そんなイメージです。

それから、研究授業は準備と当日にエネルギーを使いすぎて、その後が放ったらかしになることもあるようです。永田台が今後どうなっていくかは注目していきたいと思いますが、ある先生は、前回の研究授業で反省点があり、今回もう一度やりたいと手をあげたそうです。また、参加者は前述のとおり、ひとりひとりの行動を書きますから、そこも「話しただけでやった気になる」病対策にはよいように思いました。

研究授業ひとつとっても、いろいろ工夫ができるヒントを多くもらいました。

 
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◎『変わる学校、変わらない学校』引き続きよろしくお願いします~

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