妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

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「保健室に通うやっかいな子」に悩む教師へ

朝日新聞の悩み相談のコーナーでのある中学校教師の相談がSNSで話題になっているらしい。「やっかいな問題のある生徒にどう対応したらいいか、ほとほと困っています。」で始まる投書は、保健室に通いがちの生徒のことにイライラする、養護教諭もその子のせいで仕事ができず困っているという。

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この相談について、「教師の仕事を放棄しているんじゃないか」、「いい先生も多いけど、こんな信じられない先生もいる」といった非難の声も多いようだ。上野千鶴子さんの回答では

もしわたしに子どもがいたら、あなたのような教師のいる学校には預けたくありません。昔から「手のかかる子ほどかわいい」って、言うじゃありませんか。「やっかいな生徒」ほど萌(も)える、おっと燃えるのが、プロフェッショナルな教育者というもの。自分の担任の生徒を「しょせん、よその子」って。そりゃないでしょう。

と、この教師の認識に批判的である。

大事なのは「話せばわかる」ことではなく、「聴いてあげる」こと。子どもはオトナに「聴かれて」いません。・・・「どうしたの?」「どうしたいの?」とじっくり聴いてあげてください。ただし安全な環境で。頭ごなしに否定しないで。「通訳」が必要なら学校カウンセラーのような第三者に頼んでもいいでしょう。

とアドバイスしている。すごく的確な助言だと思う。

「体の不調」を文字どおり取るなんて、人間理解の初歩にも至りません。その背後に、何かいりくんだ隠された事情があることぐらい、カウンセリングの世界では常識。 

 という指摘もその通りだし、さすがだと思う。しかしだ。たしかにこの相談者の教師の認識はどうかと思うが、上野さんのほうにも、かなり違和感がある。なぜなら、上野さんも、この教師の背後にある、「いりくんだ隠された事情」を斟酌できていないように感じるからだ。

「黒板と教卓黒板と教卓」のフリー写真素材

 

僕は次の点がかなりひっかかっている。

  • わざわざ取り上げられるかどうかもわからない、新聞の人生相談に投書したくらいなのだから、ほかに相談できる相手はいないということではないか?上司にも同僚にも、友達にも。
  • 少なくとも、この教師と養護教諭との間はうまくいっていない。それをほかの同僚たちは介入・調整できていない?(この子の問題はだれだれ先生とだれだれ先生の問題、わたしの問題じゃないとしていないか?)
  • 「しょせん、よその子」と思うようにしている、というのは、そう割り切らないと、精神衛生上やっていけないほど、かなりしんどい状況にあるということか?
  • 以上は仮説なので、確認しないとなんとも言えないが、もし上記の状況であると仮定した場合、教師たるものかくあるべし論のアドバイスでは、あまり効果がない。べき論と現実の自分のギャップをうめられるとは本人は思えないからだ。

僕は学校カウンセリングの専門家ではないけれど、以上の理由から、相談と回答・助言はうまくマッチしていないように感じた。

つくづくこういう投書を読むと、教師はたいへんな職業だなと思う。医者だったら、診察時間の、教師よりもかなり短い時間だけ向き合えばよい。ある重病の入院患者がいるとする。「医者のあんたは命預かってんでしょ。ちゃんと患者の体の状態と心に耳を傾けなさいよ。それがプロでしょ」と患者と話すときや手術のときには言えるだろうが、その患者さんが寝ているだけのときなどは、だれもそんな期待はしない。教師はやりだすとキリがないところがつらい。無定量・無限定となりやすいといわれる。

 

さて、こういう相談が来たときは僕ならどう言うかなあ、とちょっと考えてみた。

  • 学校の先生ってほんと大変ですよね。塾だったら、もう来なくていいって言えるけど、学校ではそうはいかないし。
  • まあ、でも、この子もとてもがんばって学校に来ているんでしょうね。
  • 職場の人間関係も複雑ですよね。道徳の授業とかやっているわりには、先生たちの人間関係ってこじれやすいし。人間だもの(みつを)。
  • 誰かに相談したら?と言っても、できない、しても意味がない(へぼい管理職たち)だから今回相談してくれたんですよね。
  • 生徒と向き合う時間のときはこの子からは逃げられない、教師である以上そこは仕方ないしんどい現実ですね。生徒と向き合わない時間をどこかでもっととれるといいかもしれませんね。金曜は何がなんでも早くしごとを終えて(部活も休みにして)、おいしいもの食べに行くとか、学校関係とは関係ない友達と遊ぶ。
  • そこもやる気が出ない? となると、保健室の先生に相談して、、、、は今回の場合は逆効果ですよね。思い切って、休んでいいですよ。

ん~、あまりこうしたら系のアドバイスはできそうにない。。。ともかく、上野さんも書いているように、「聴いてあげる」ことではないだろうか?

 

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