妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

”〇〇は参考にならない”は自分のなかで禁句にしたい

最近いろんな研修や講演の場で、事例の紹介をしたり、あるいは事例発表から学ばせていただく機会が多い。「神は細部に宿る」と言うが、やはり具体的なところを聞くことで、より明確に重要なポイントを考えられ、なるほどと思えることは多い。

一方で、「いい話は聞けたけれど、自分にとってはあまり参考にならなかった」という反応をする人もいる。

学校などでも、同じ研修を受けても、

Aさんは「ここが勉強になった。自分の学校に当てはめると、こういうことかなと思いました。」

という人と

Bさんは「あそことうちではいろいろ事情がちがうし、あまり参考になりませんでした。」

という人に分かれる。きっとあなたの職場でもAさん、Bさん両方いると思う。

Bさんが言うことももっともなところは多い。たしかに、それぞれの学校でのこれまでの経緯や伝統、職場の風土・文化、あるいは管理職の姿勢や予算などが揃わないと、実現できないことは多いからだ。

しかし、Bさんのようなこと言うと、なんでもそうなりかねない。小中高校は全国で4万弱あるが、4万弱通りの事情がある。

 

関連して、先日フェイスブックで、部活動が中学校の新人教員にとって負担となっているという記事をシェアしたところ、ある方(Cさんとしよう)は、「解決策が書いていないので、参考にならない」というコメントだった。

たしかに、現場で一生懸命なCさんにとって、せっかく問題提起するなら、解決先まで言えよ、それが専門家だろという意見を言たくなるのも理解できる。

しかしながら、そんなに簡単にためになる解決策(=魔法の杖)があるのなら、とっくの昔にだれかがやっているはずだとも思う。なぜこれまでできなかったかをよく考えて、対策は考えるべきだ。

中途半端な言い方かもしれないが、びしっとはまる解決先など、そうそうない。とはいえ、多くの事例や実践にある程度当てはまることや共通して留意するべきことはある。たとえると、絶対ホームランが打てるというバッティングのしかたはないが(教えられないが)、打率がある程度高まる方法はある。イチローだって4割はいかないように、4割以上の確率で解決策がジャストミートするなんて、現実の複雑な世界ではないのだろうう。

経営学の世界もおそらくそうで、たとえば、戦略論の本は今まで何百冊と出ているが、それは優れた戦略としてコピぺなどできるものはないからだ(簡単にコピペできるなら、差別化できず、よい戦略にならないし)。ある程度共通して留意するべきことなどは言えるが、あなたの会社にとって優れた戦略はなんですか?と言われれば、ケースバイケースである。

ましてや、企業経営以上に、学校づくりは、いろんな価値判断があるし、長期でないと見えないこともあり、よしあしを決めにくい、難儀な業界である。

話を戻す。一見もっともらしい理由をたてて、「〇〇は参考にならない」というのは、いかがなものだろうか?この下の写真のように、すぐにそっぽを向いてよいものか?

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優れた学習者ならば、どこかしらで参考になる点を見つけていけるのではないか?

僕がこれまでお会いした校長や教職員の方で、この人いいなとすごく思った方は、ほぼ間違いなく、情報のアンテナが高い。業界や背景事情は異なっても、よそから学べることを見つようとしている。

つまり、言い過ぎかもしれないが、「〇〇は参考にならない」と言ってしまうのは、「私は考えるのがめんどうなので、参考になることを見つけることができませんでした。降参です。」と言っているのとそう違わないのではないか?

僕もそうそう偉そうなことを言えるわけではないが、自分としては、「〇〇は参考にならない」は禁句にしょうと思う。

 

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