妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

幼保小中高連携した御前崎のスクラム教育

先日、静岡県の御前崎市を訪問しました。篠田教育長が『変わる学校、変わらない学校』をお読みいただき、そのご縁で教育委員会と校長会共催の研修会に呼んでいただいたのです。

原子力発電所と地震・津波対策の影響

御前崎には中部電力の浜岡原発が立地し、大地震が起きると5分で津波が到達する可能性も指摘されています。学校では抜き打ちなども含めて年に5回も6回も避難訓練をしています。サーフィンにも適した素晴らしい海と波があり、マリンスポーツ体験などを子どもたちにももっとしていきたいところですが、当然、地震が起こったときどうするかの対応も必要です。また、原発関連でのしごとはもちろん、宿泊・飲食店などの地元経済にも原発は影響(貢献)しています。同時に、夜の商売も多く、家庭教育で悩みのあるところもあります。

学校教育、それから家庭・地域にとって、原発の存在と地震の危険性は大きなものとしてあります。

 

幼保小中高がスクラムを組む

そのような大変難しい環境にもある御前崎、僕は訪問してすっかりファンになりました。なぜなら、ひとつはお会いした人々がとても素敵な方たちだったこと。もうひとつは、地元の幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校(県立高校がひとつ市内にあります)がタグを組んで、御前崎の教育をよりよくしていこう、切れ目のない子育て・教育をしていこうと動いているからです。

御前崎ではこれを「スクラム教育」と呼んでいます。2つの中学校ごとに、幼保小中高校連携したコミュニティ・スクールを運営しています(スクラムスクール運営協議会と呼んでいます)。

このような幼稚園・保育園から高校まで子どもの年齢をこえた連携を縦糸とするなら、学校と家庭・地域というコミュニティの連携という横糸も加わったのが、御前崎のスクラム教育です。小中一貫教育や地域連携など、縦糸か横糸の一方のみ太い例はほかにもありますが、縦横そろえている例はそうそうありません。

 

連携をなぜ、どのように始め、広げるか

もちろん、御前崎に限らず、どこの地域でもそうですが、コミュニティ・スクールなど、場・器をつくっただけでは、顔見知りが増える以外の効果はあまり期待できません。コミュニティ・スクールの協議会を開催しても、また会議が増えたのかとイヤイヤ参加していたのでは、クリエイティブな面白いアイデアは出てこないし、実行もできないでしょう。教育委員会や行政がなんとか協働といくら言っても、「笛吹けども踊らず」の地域も少なくないのではないでしょうか?

問題は、多様な人々と連携して何を目指して(なんのために)、何をしていくかです。僕のほうからは、次のタイトルで講演とワークショップをしました。

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  • なぜ多様性の高い場が重要なのか
  • 学校の教職員はがんばっている方がほとんどだが、なぜ学校だけのがんばりでは十分ではないのか
  • 学校や園が連携してやっていくべきこととは(仮想事例をもとにしたワークショップ)
  • 家庭・地域との連携と一口で言うけど、どのような層を重点ターゲットにしていくか考えているか?
  • 地域連携やチーム学校以前に、学校内の教職員の関係性は大丈夫か?(ソトに開く前にウチを開く)

 

 こんな話をしました。

浜岡中での地域連携、学校間連携の取組

訪問した浜岡中では、大変興味深い連携をすでにいくつも実施しています。かつては生徒指導困難校、県内有数の荒れた学校として有名でした。『変わる学校、変わらない学校』で言えば、確実に「変わる学校」になってきています。

一例は、次の写真のシニアスクールです。僕の本にも紹介している岡山市の岡輝中学校の取組を参考に、採り入れたものです(優れた取組を学ぶということもいいですね)。地元の50代~70代のシニアな方が学んでいます。中学生たちは、大人たちが学んでいる姿をみて、ビシビシ刺激を受けます。言葉では言わなくても、学び続けることの大切さを背中で見せているのです。

ちなみに、新野左馬之助についての講演は僕も聞きたいなあ(来年の大河ドラマ、女城主直虎のおじさんが左馬之助と地元の方に教えていただきました!)。

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次の写真は、授業研究会でのある国語の先生の指導案です。「モアイは語る」という中2の題材について学ぶときに、この生徒たちが小学校のときに習った「ありの行列」という題材を振り返ってから進めます。生徒たちは小学校の学習とのつながりを意識して、自信を高めて、授業にのぞむことができるというわけです。

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大変興味深いのは、この中学校の授業研究会に、地元の池新田高校の先生も来ていることです。わざわざ高校の授業を工夫して、午後に教員が全員参加できるかたちにしたほどの熱の入れ方です。

ぶっちゃけ申し上げると、一般的な傾向として、高校の先生は、中学校や小学校の先生よりも、教科教育については自信とプライドが高い方が多い印象を僕はもっています。専門性がやはり高いからです。それに、県立高校と市立中学校という行政のちがいもあって、中高連携といっても、それほど強いものにならないことも多いと思います。

しかし、池新田高校の校長は、こう断言していました。高校教師が中学校から学べることも実に多いと。板書の書き方、教室という場の作り方、生徒同士の学び合いの進め方などなど。

この言葉は僕は非常に勉強になりました。小中の先生は教科の内容や専門性の点で高校から学べることは多いはずで、逆に高校の先生も小中から学べることもある。互いにお得だから連携する、教員が一番重要視している授業をよりよくするためにスクラムを組む。これは非常にシンプルですが、やる気の上がる話です。

 

御前崎の教育について、もっと書きたいこともありますが、今日はこのへんで。写真はしらすソフトです!

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◎『変わる学校、変わらない学校』引き続きよろしくお願いします~

※先日文科省のフォーラムでプレゼンしたこともあり、アマゾンランキングで1位(学校運営and 教育行政・法律)になりました。

買っていただいた方、ありがとうございました。

出版社さんからでも1、2日で届けてくれます。学事出版TEL:03-3255-0194

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senoom.hateblo.jp