妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

映画『聖の青春』とドラマ『校閲ガール』の共通点

録画しておいた今週の「地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子」を娘たちと一緒に観た。毎回、純粋に楽しんでいるんだけど、どこかでぐっとくるシーンもあり、いつも、「仕事で大事なことってなんでしたっけ?」と考えさせられる。

www.ntv.co.jp

ちょうど、昨日観た映画『聖の青春』とも重なるところもあった。『聖の青春』は下記のまとめサイトがわかりやすいと思うけど、29歳の若さで亡くなった棋士、村山聖(さとし)さんを主人公にしたノンフィクション的な映画だ。1990年代後半の話、羽生善治さんが七冠を達成した時期とも重なる。その超全盛期の羽生さん(そこから20年を経た今も羽生さんは強いことは驚異的だが)に勝ったこともあるのが村山さんだ。

matome.naver.jp

公式サイトには、羽生さんらトップ棋士の応援コメントも載っている。

satoshi-movie.jp

校閲ガールにも聖の青春にも共通するメッセージがある。それは、「その仕事に命を懸けるほどの情熱をお前はもっているか?」、「そんな情熱はあっても、困難がたくさん降りかかっても、その情熱をもち続けられるか?」だ。まさに村山聖さんは幼少期からの難病を抱え命を削りながら、長い対局を闘った。校閲ガールでは校閲という目立たない仕事で、希望した部署でもないのだが、主人公が全力で向き合っているシーンが描かれる(とくに今週は相手方の小説家が命をかけて執筆にかける姿もあった)。

何が、彼を、彼女をそこまでさせるのか?

「命を懸けられるか」なんてことを言うと、すぐブラック企業と叩かれるご時勢である。たしかに、命を懸けろと経営者や管理職が言うのは、どうかなと僕も思う。そんなこと強制されるのはご免だし、強制されても長続きしない。

しかし、どんな仕事であれ、自分にとってめっぽう打ち込めるものだとしたら、それはすばらしいことではないか?

※次の写真は次女の学校での作品

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僕がここにビンビン感じのは、大きな会社を辞めて、ひとり立ちしようとしているから(まだまだビジネスには遠くて試行錯誤中だ)というのも大きいと思う。

僕としては、自分の仕事は、学校づくり(あるいはもう少し広く、地域づくり)で、がんばっている人の優れた実践を翻訳して(自分なりによく理解し、解説や価値を加えて)、その発展と広がりをつくる手助けをすることだと思っている(少なくとも今のところは)。

まったく青臭いと言われそうだが、自分としては大真面目なのだから、いいかなと思う。それで、数日前の記事でも書いたように、学校現場の方や支援している教育委員会の方らの話を聞くのはとても楽しいし、自分の吸収したことを(スポンジのようにうまく吸収できているかどうかはわからないけれど)、自分の考えたことも加えながら、記事にしたり、本にしたり、研修などで伝えたりするのも好きなことだ。

senoom.hateblo.jp

聖の青春では「なぜ将棋を指すのか」というテーマがたびたびのシーンで問われている。村山さんと羽生さんが2人きりで、あまり饒舌ではなく語り合うシーンは特に印象的だ。別に何か答えが映画の中にあるというわけではないのだが、考えるシーンだ。

また、映画の中で村山さんが「将棋は生きるか死ぬかの真剣勝負」と言うセリフも心に残る。これは病弱だった村山さんのセリフだから余計真に迫るものがあるが、多くの棋士にとっても一局一局は勝つか負けるかは分からない世界なのだろう。

村山さんや羽生さんよりずっと若い世代だが、羽生さんと互角の実力の渡辺明竜王は著書『勝負心』の中でこう書いている。

プロ棋士にとって最も精神的に厳しいことは何か?

「負けても次の対局に向けて勉強しないといけないこと」ではないか、と私は思う。(p.146)

 

私は、幼い頃から将棋が好きだった。「才能がある」とも言われた。

では、才能とは何か。

熱意こそ、才能である。

将棋で言えば、将棋の研究に時間をかけられる熱意こそ、才能である。

・・・(中略)・・・

しかし、熱意を持ち続けることは、そう簡単なことではない。

基本的に棋士は、日々、一人で研究を行う。

一人で気楽だ、ということはある。しかし、一人で研究を続けるのは、かなり苦痛な作業だ。さぼろうと思えばいくらでもさぼれるからである。まさに自分との戦いだ。(p.155,156)

勝負心 (文春新書 950)

勝負心 (文春新書 950)

 

 

渡辺さんの「熱意を持ち続けることは、そう簡単なことではない」という言葉は響いた。重病をおして生き抜いた村山さんもそうだ。病気なのだからとあきらめることはいつでもできたのかもしれない。しかし、最後まで続けた。これはすごいことだと思う。

ちょうど、『GRITやり抜く力』の書評を書いたこともあり、この熱意を持ち続けることについては、強く振り返った数日だった。

 

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