妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

「ちょっと教えて」が言える学校に

新年度がスタートしましたね。新小3の次女が昨日までは一緒の布団でしたが、今日から二階建てベッドに行くということで、成長を感じるやら、少しさみしい感じもしています。

いまさらだけど・・・4月5日スタートでよかったのかな?

さて、学校がはじまるのは、5日か6日くらいでしょうか?うちの子どもたちの小学校、中学校は5日スタートです。どなたかのFacebookでも指摘されていましたが、営業日としては2、3日しかありません。そんな準備期間のなか、新任教員であっても、すぐ教壇に立つということですから、非常にハードな職場だなあと思います。というよりも、教育委員会の判断で、今回のようなカレンダーの場合、例年通りとせず、もっと始業式を遅らせる判断をしたほうがよかったのではないか、とさえ思います。

※保育園に慣れっこな保護者の視点からは、学校が1日でも早いほうが助かる気持ちはよくわかるのですけど。。。

新人は各校に1人か2人で、大ベテランから学ぶ

少し大きな企業であれば、はじめの最低1週間、あるいは1か月くらいは現場配属の前の研修ですよね(ぼくがシンクタンクにいたときは、2か月近く研修だったかな)。先生の場合、新任の研修は制度化されていますが、授業などをしつつ、並行してです。

文科省のサイトには「初任者研修実施状況(平成27年度)調査結果」というのが公表されています。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kenshu/1383446.htm

これをざっと読むと、次のような事実がわかります。

  • 初任者研修の対象者のうち、新卒者は全体の38%、常勤講師等経験者は44%、その他が17%。常勤講師等経験者であれば、新卒とはいえ経験があるが、新卒者は、実習やボランティアのときを除き、現場は初めての人がほとんど。
  • 新任教員は1人配置が59%、2人配置が31%。
  • 学級担任を受け持つのは全体の69%。ただし、小学校にかぎると、ほとんどが学級担任をもつ。
  • 指導教員は、21年目~30年目が20%、31年目以上が72%とほとんどを占め、ベテランが指導者となっている。

学校は、新人をケアできているのだろうか?

ここから、どのようなシーンが想像できますか?あるいは、みなさんの学校では、新人さんの様子はどうでしょうか?

※写真は保育園に送るとちゅうの風景 記事は下に続きます

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ひとつは、ポジティブなイメージです。各校に1、2人ということですから、いくら学校は多忙化しているとはいえ、比較的ケアはしやすいのではないでしょうか?それに、21年目以上の大ベテランが師匠役です。

と書いたものの・・・この仮定には、いくつか非現実的だな、と思われる学校も少なくないと思います。

学校でケアしないといけないのは、この新人だけではないことが多いからです。

産休・育休の代替などで非常勤講師の方なども増えています。つまり、経験が必ずしも豊富ではない教員は新人以外もいます(非常勤の方にはベテランという場合もありますが、教員採用試験を受けつつ、講師をやる若手も多い)。また、経験年数に関係なく、学級経営や授業がうまくない人もいます。学校は新人だけに手を焼けるわけではないのです。

直接的な証拠ではありませんが、傍証は同じ調査データのなかにあります。平成27年度、小学校に配属された新任教員のうち、学級担任をもつ人は13,199人、担任をもたない人は505人です。新人でも、小学校の場合は配属されてわずか数日後に(今年の場合は3日後に)96%が自分の学級をもって、一人前の教師としてやっていかないといけない、という事実は、ほかに人材がいない、ということを象徴しているようにも見えます。

 「そんなの前からそうですよ、何をいまさら!」

という声が聞こえてきそうです。

ふむふむ。。。しかし、この「前からそうだった」というロジックは、この例にかぎらず、学校運営にあふれていますが、多くが疑ってかかる必要があるとぼくは思っています。だいたい、文科省が財務省相手に教員定数の改善を要望するときの決まり文句や、中教審答申で最初のほうで必ず語られることをご存じですか?

「最近は、学校の抱える課題が複雑化・高度化している」ということでしょう?これもどこまで事実かは要検証でしょうけれど、障がいなどでケアが必要な子や日本語に不慣れな子が増えているのは、事実です。仮にこの文科省の言葉が事実だとすれば、「前からそうだった」とか、「オレの時も厳しかったけど、なんとかやれた」といった理屈では通用しない現実があるということです。

新人は孤立していないか?

もうひとつ心配なのは、同僚の新人が同じ学校にはいないというケースが6割ということ(いても同期は1人だけ)。しかも、20年以上年上が指導者役です。これでは、悩みを聞いてもらいにくい、共有しにくいという学校も出てくることが容易に想像できます。

学校はKKD(経験と勘と度胸)がまだまだ幅をきかせています。「わたしのときは少々つらくても頑張ったわよ」、「現場はそんなものよ。この1年は修行と思って頑張りなさい」的な発言をされてしまう可能性もあると思います。

実際、いくつか新人教員の過労や自殺の裁判例を見ていると、新人が学校のなかで孤立していたことが推測されるケースに出会います。

あなたの学校では、大丈夫でしょうか?

弱みを見せづらい職場でも、”ちょっと教えて”なら言える

教師は、その職業の特性上、ひとに弱みを見せづらいと思います。子どもや保護者に、自信がありそうにふるまわないといけないシーンが多いからです。職員室や同僚との関係ではどうでしょうか?

新人とはいえ、責任のある仕事(学級担任や教科指導、あるいは校務分掌など)を任されています。右も左もわからないことはだれでもあることと思いますが、先生は「できない自分」を見せるのが、おそらく他の職業よりも苦手な傾向にあります。

よく「ヘルプサインを出そう」ということが言われます。これは、過労防止の場合でも、メンタルヘルスの場合でもその通りでしょうし、学級崩壊になる前にもっと共有できていれば早期に解決できたのに、ということ等もよくあります。しかし、上記のように、なかなか「助けて」と言えない人もいるし、周りに多少の余裕と理解(KKDだけでない人)がなければ、声を出したとしても、ちゃんと受け止めてもらえないかもしれません。

そこで、ぼくの今日の提案は、「ちょっと教えて」が言える学校にしよう、ということです。低い目標かもしれませんけど、大事なことだと思います。

もちろん、自分でたいして考えたり、調べたりもしないまま、なんでも聞けと言いたいのではありません。しかし、先ほど述べたようないきなり学級担任をやらされるようなハードな職場です。分からないことや不安なことは、指導者役にかぎらず、深く悩まないで、周りに聞いたほうがよいと思います。

あるNPOの友人が言っていたことですが、学校の先生は「先生、教えてください」という言葉に弱い傾向があります。職業柄、そう言われると「かわいいやつだ」と思う人が多いというわけ。

それに新人のほうも「助けてください」はやや大仰ですけど、「先生、ちょっと教えてください」なら気軽だと思います。

理想は互いにそう言える関係の職場です。たとえば、新人のほうが最近のネット事情や子どもの共通の話題には付いていっている可能性がありますし、大学等でなかなか興味深い情報を仕入れているかもしれません。ベテランも若手から学べることは多いはずです。

ぼくが仮に校長なら、学校の経営計画として「教員評価アンケートで9割の人がうんぬん」といった目標は書きません。「誰もが”ちょっと教えて”と言える職場にして、気持ちよく過ごす」と書きます。

きょうはこのへんで。

★ちょっとお知らせ~
4月15日に学校の多忙化をテーマに、「元気な学校づくりゼミ ~”部活のこれまでとこれから”から考えよう~」の勉強会を開催するよ。参加者募集中です。

www.kokuchpro.com

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