妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

スイミーに感動ばかりもしていられない。同調圧力と戦う。

新年度が始まって2日。みなさん、いかがお過ごしでしょうか?

どの学校でも、いまの時期は校務分掌といって、さまざまな分担が決まっている時期だろうと思う。部活の分担も重要なテーマのひとつだと思う。

学習指導要領を読むと、現行も次期も、部活動は「生徒の自主的,自発的な参加により行われる」ものであり、教育課程外(=正規の授業の外)という位置づけとなっている。

言い換えれば、各学校で部活はやってもいいが、やらなくてもいい活動というわけ。

このため、部活動の顧問は、生徒の自主的な活動に付き合っている、教職員の自発的な活動、というのが通常のタテマエだ。まだ勤務時間中であれば、校長が職務命令で指導に当たるように要請できるかもしれないが、多くの中高がそうであるように、勤務時間外まで顧問の仕事を押し付けるのは、筋が通らない。(法令上も、超勤が認められる要件として部活は入っていない。)本当は、「やるなら、好きな人だけでやってくれ」というほうが正論なのだ。

しかし、以上はタテマエであって、現実はそうはなっていないのは周知のとおり。平成28年度全国体力・運動能力等調査によると、中学校では部活動の顧問は「全員が当たることを原則としている」学校が87.5%と大多数であり、「希望する教員が当たることを原則としている」は5.3%に過ぎない。つまり、全員顧問のほうがほとんどの中学校の常識というわけだ。

おそらく、職員室で、「全員顧問なんておかしい」、「顧問やるかは選択制でいいんじゃないですか」と発言したとしても(そもそも、そうした声を出しづらいという人も多いと思うが)、「みんなで少しずつ分担するしかない」とか「顧問のなり手は他にはいない」とか、「やる気のある生徒のことを思え。休部を急に決めるわけけにはいかないんだよ」ということで、なかなか通らないか、かき消されてしまうと推察する。

でも、「子どものためになるから、みんなで当たるべきだ(多少の教員の犠牲はやむを得ない)」という発想は、一見まともに見えるが、本当は、危ういと思う。

そんなことを言い出すと、キリがないからだ。たとえば、将来はオーケストラで活躍できるのが夢だ、中学時代はそれに向かって放課後もいっぱい練習したい、という生徒がいたとしても(それも複数人)、オーケストラ部をつくらない学校のほうがほとんどだろう。日本の伝統文化も大事にしたいのなら、オーケストラ部を津軽三味線部に代えて考えてもよい(笑)

これまでも、限られた人と時間と予算のなかで、学校が面倒を見るべきことは選択しているのだ。仮に、バレーボールをやりたいという子がいる。でも顧問のなりてが、やりたくないと主張するA先生以外はどうしても見つからない、外部指導者も確保できない。となれば、生徒の自主サークルでやってくれ、とするしかないではないか?

無理やり、やりたくないA先生を顧問に据えてまで、部を存続させる理由は、どこにあるのだろうか?バレーボールの場合とオーケストラの場合のちがいはどこにあるのだろうか?合理的に説明できるのだろうか?

「前からやっていたんだし、頑張っている子たちもいるんだから、部をやめたり、縮小したりはしたくない」という気持ちはわかる。でも、だからと言って、学校はなんでも面倒を見ないといけないわけではないはずだ。

また、A先生がやらないなら、生徒がかわいそうだし、仕方ないからB先生が2つの部の顧問をやります、というのも、ムリがあると思う。B先生は部活専属ではないのだし、ほかのことにしわ寄せはこないのだろうか?

それに、こうなってくると、いかにもB先生は生徒思いのよい人で、A先生は自分のことばかり言う人みたいに職場の空気がなるのも、怖い。A先生もB先生も、本来勝負するべきは、授業や生徒指導や、ほかの学校運営であって、部活ではないでしょう?

本来は、有志の教員だけで顧問がまわらないくらい規模が拡大し、持続可能性の低い運営になってしまっている、部活の現状を見直し、教員で面倒をみる部活数を縮小するというのが正攻法ではないか?そこの議論から逃げている学校(教育委員会も)があまりにも多いと思う。

これを「今の4月に言っても、遅いですよ!」と怒る人もいるかもしれないが、顧問を決める今の時期だからこそ、少し立ち止まってよく考えておいてほしいと思う。

少なくとも、学校の先生たちに考えてほしいのは、A先生は勝手なやつで、B先生はいい人みたいな職場にして本当にいいですか?というクエスチョンだ。

 

部活にかぎらないが、「みんなで渡れば怖くない」的な発想は、そろそろ卒業するべきではないか?仮にも、思考力を鍛えることや、多様な価値観や生き方を考えるのが学校の重要な使命のひとつであるならば、集団思考や同調圧力に屈しない人材を育てることも、大事にしなければならない。子どもたちに求める前に、まずは先生やオトナたちから。

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小学2年生で習うスイミー、もう40年近くも、ある教科書には載っているらしい。スイミーの話はほんと感動するね、という気持ちを、ぼくは否定しない。しかし、このストーリーは、本来は、もっとクリティカルにとらえられてもよいと思う。

だって、スイミーが目になって、ほかの魚と協力して大きな魚に見せたって、食べられてしまうリスクもあったわけだ。みんなで協力するのは素晴らしいね、と美談にするよりは、「オレはそんな危ない橋は渡らないぜ、スイミーに同調したいやつだけでやれ」とそっぽを向く赤い魚がいても、よいではないか?むしろ、そのほうが魚たちの生存確率を高めることになるかもしれないのだ。

あなたのなかにも、あるいは近くの同僚にも、そんな赤い魚はいないだろうか?

senoom.hateblo.jp

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