妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

防災頭巾で子どもを守れるの?

今年から、子どもの小学校のPTA活動にも少し関わっています(副会長やってます、どこまでお役に立てるかはわかりませんが)。

PTAの会議である保護者の方から、こんな内容の話がありました(ぼくが記憶している範囲なので、若干ニュアンスなど違うところもあるかもしれません)。

各家庭で防災頭巾を購入することになっているんですけど、保育園ではヘルメットになっています。ある外国暮らしの長い方が、頭巾で子どもを守れると思っているなんて信じられない、と発言されたことがきっかけになったと聞いています。小学校でもヘルメットを常備することは検討できないでしょうか?

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http://daianshin.com/SHOP/18007/59038/list.html

 

なるほど、という指摘でした。防災頭巾は、日ごろは座布団代わりにもなる便利品ですが、どれほどの衝撃に耐えられるのか、心もとないですよね。防災頭巾は、関東地方などでは1970年代に広まり、それからずっと続いているようです。西日本では、防災頭巾もヘルメットもない、という地域が多いようです。こうした”伝統”、たしかに一度よく考えてみる必要があるかもしれません。

www.nikkei.com

学校としては、予算がないこと、家庭負担で購入してもらうとしても、いまのご時勢、家庭負担を増やすことには慎重に検討したいこと、置き場所が悩ましいこと、折り畳み式ヘルメットだと場所の問題は少なく済むが、低学年の子ができるかどうか、などの話もありました。ある保護者の方からは、ヘルメットの耐用年数が5年なので、1年生のとき買って、それを6年生では使えないという話も出ました。

 

そこで、ググってみたのですが、防災頭巾の安全性については国民生活センターという公的機関が2010年に調査した結果を報告しています。

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100901_1.pdf

 

こちらの内容をざっと読みますと、次の点が気になるポイントです。

  • 表示などで防炎性能を謳っていても、自己消火せず燃焼が続き焼失するものがあった。
  • 日本防炎協会認定品の場合、防炎性能は安定している傾向にある。
  • 衝撃吸収率としては、50%前後のものも多かった。
  • ただし、防災頭巾の衝撃吸収性能試験は、5kg のストライカーを 10cm の高さから落下させるが、災害時の落下物から頭部を防護するヘルメットは、防災頭巾とは異なり硬い素材を使用し、その規格ではストライカーの落下高さも防災頭巾の 10 倍の高さから落下させて衝撃吸収試験を行うことから、防災頭巾よりかなり高い衝撃吸収性を有しているものと考えられる。
  • このため、防災頭巾は、書籍などの軽量な落下物からの保護用であると思われる。
  • 経年劣化や洗濯などによって、防炎性能も衝撃吸収性も低下する例がある。

つまり、防災頭巾は火の粉を防いだり、本の落下などから守るという点では、ある程度有効なこともあるが、重いものが落ちてきたとき等には役立たない可能性が高い、ということです。しかも、劣化したり、使い方によっては綿が偏っていたりもするので、防炎という点でも、衝撃吸収という点でも、安全でない場合も出てくるということです。

もう少し場合分けすると、想定する災害によって備えは異なると言えそうです。

火災(地震に伴う火災を含む)の場合は、防災頭巾のほうが有効。地震での落下物等の対策としてはヘルメットということでしょう。体育館などが避難場所になりますが、天井は耐震化されていないことがあるそうです、コワ。。。

欲を言えば、両方あってよいということなのかもしれません。

ただし、もうひとつ想定が必要です。言うまでもありません、津波です。その場合は、何よりも高いところに早く避難することが最優先ですが、防災グッツとしては、ライフジャケットがあったほうがよいのではないでしょうか?多少のショック吸収にもなりますし、溺死する確率を少しでも低下できると思います。

千葉の沿岸部のある小学校ではライフジャケットを備えて、訓練もしているとあります。

御宿町立御宿小学校ホームページ「ごりんのひろば」

 

今回の防災頭巾に関連する話、内田良先生の『教育という病』という本で述べられている「教育リスク」のひとつかもしれません。30年、40年続いてきたことについて、「まあ、大丈夫だろう」、「ないよりはマシ」という楽観的な思考でいたのではないか、ぼく自身を含めて反省したいと思います。

また、学校や地域によっては、防災頭巾を親(多くの場合は母親かと)の手作りでというところもあります。わが子を思ってという美談ですが、本当に自分の子どものことを思うなら、その性能で大丈夫かを案じるべきです。

もちろん、気にしたらキリがないということもあると思います。肝心の家庭ではどうなっているかと言われれば、うちはヘルメットなどもっていませんし、心もとない。。。通学路での被災も心配だからといって、毎日ヘルメットかぶらせよう(かぶろう)とは思わないでしょう。

通学路などは、ある程度、日常の便利さとリスクは、天秤にかけざるを得ないと思います。

しかしながら、備えられるところはやっておくことにこしたことはありません。この商品がいいかどうかは知りませんが、たとえば、折り畳み式のヘルメットを付けた防災頭巾というものもあるらしく、3800円です。5年使えるとしたら、仮に家庭負担(自治体予算ではなく)としても、そう高くはありません。

yellow-inc.com

ヘルメットを置く場所に困るという意見は、実際問題としてはあるあるですが、そう深刻でしょうか?折り畳み式ならかなり収納は便利そうです。また、どの教室でも掃除用具を入れる場所があるなら、防災グッツのほうが優先のような気が個人的にはします。PTAのある保護者は、椅子の下にヘルメットを入れておけるネットを手作りしてみた、という方もいました。

ライフジャケットは、地域によってはライオンズクラブや日本釣振興会(そんな団体があるんですね~)が寄贈されていることもあるそうです。

平成28年度の救命胴衣(ライフジャケット)寄贈先 – 公益財団法人 日本釣振興会

それに頼りきっていいかは微妙ですが、そういう方法でそろえるということもある、ということです。津波の危険な地域は、普段はマリンスポーツに親しめるわけですから、スポーツ団体等とも相談していけば、訓練への協力など、なにかと進展があるかもしれません。

子どもたちの安全のために、大人は思考停止せず、実現する方法について知恵を絞っていくべきだと思います。

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senoom.hateblo.jp