妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

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【忙しい学校 どうする?】長時間労働是正は”指導文化”への挑戦

おととい中教審の学校の働き方改革の部会、第2回がありました。主なテーマは2つ。

  1. 学校の果たす役割、業務の領域はどこまでと考えるか
  2. 教員の果たす役割、業務の領域はどこまでと考えるか

です。つまり、学校ならびに教員の役割がどんどんビルド&ビルドで肥大化してきた結果、たいへん多くの教員が過労死ラインを超える過酷な労働にあるとの認識です。

 

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しかし、この2つ、お気づきのとおり、とってもでかいテーマなのです。話が発散して結局よくまとまらない、とか、以前の中教審などの提言と変わり映えのないものとなった、という感じにならないか、心配でした。

そこで、ぼくは1.については、会議で最初に手をあげて次のことを申し上げました。

今回の審議では、これまでの取り組みの反省点はなんだったのかを踏まえる必要があると思います。数年前にチーム学校の提言はあったわけですし、もっと以前では週休2日制のときに、土曜は子どもたちを家庭・地域に帰そうという理念だったはずです。過去の反省点を踏まえないと、また同じような焼き直しになることを心配します。

わたしは過去の反省として2点考えます。ひとつは、具体論が足りなかったのではないか。家庭や地域の役割が大事などと言ったところで、具体論がないと、前に進みません。もうひとつは、あまりにも金をかけないなかで頑張れとしすぎていたのではないか、という点です。

 

2.については、次の内容を申し上げました。

 学校の働き方改革は、”指導文化”への挑戦だと思っています。学校は〇〇指導ってたくさんありますよね。そもそも学習指導要領ですし、指導主事なんて仕事もあるくらいです。先ほどから、登下校指導を学校の役割とするのかなどのお話もありましたが、もっと時間をかけているところも議論したいと思います。3つ申し上げます。

一つ目は、生活指導、生徒指導です。
給食、清掃、昼休みの世話、こうしたもので1日1時間くらいにはなります。これは担任任せでいいのでしょうか?担任の負担がゼロにはなりませんが、たとえば、地域の方に来てもらって、3人の教員が必要なところを1人で大丈夫なようにするなど、工夫の余地はありそうです。

生徒指導の個別についても議論が必要です。子どもがコンビニで万引きした。なぜ親ではなく、まず学校が呼び出されるのでしょうか?また、個別の生徒への相談などはカウンセラーらにもっと予算を措置するべきです。2週に一度しか来ない人に、学校が任せられるわけがありません。

二つ目は、進路指導です。
そもそも進路は指導できるものでしょうか?選択ならわかりますけど。多くの中高では、進路指導の名のもとで、実際は受験指導が行われています。キャリア教育をもっとしたいなら、地域の方やキャリアコンサルタントにもっとお願いしましょう。

 

三つ目は、学習指導です。本丸です。

これは教員の本来業務ですが、時間の使い方は考えていくべきです。たとえば、研究指定や研究授業があると、多大な準備をかけます。うちの学校は研究指定はなくす、という学校が出て、そういう研究指定があってもいいくらいだと思っています。
また、ひとりあたりコマ数も大事な論点です。定数改善など予算が必要となりますでしょうが、小学校でいつまで9教科、10教科準備しなさいということを続けるのでしょうか?学習指導についてもあり方をよく考えていくべきです。 

より説得力を高めていきたいと思いますが、おそらく、国の審議会で、給食や掃除も含めて、教員、とりわけ担任任せの現状から離せるかどうかを含めて議論していこう、なんて言ったのは、そうないのではないでしょうか?

余裕、余力があるなら、もちろん、教員が見たらよいと思います。でも、現実は実に多くの人が過労死ラインだし、実際過労死している人もいるのですから、多くの時間を使っているところにメスを入れようというのは自然な発想なはず。

まだ議論ははじまったばかりですが、こういう点も含めて、今後もよく検討していけるといいなと思います。

もちろん賛否ある話です。でも聖域をもうけたくはありません。

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