【忙しい学校 どうする?】なぜタイムカード・ICカードで管理なのか?
高知に来ちょる(エセ土佐弁です)。
昨日は校長先生や学校事務職員の方向けに、働き方改革、多忙化の問題について考える研修会をしました。この目的は、なぜ長時間労働のままじゃマズイのか、多くの方にしっかり考えてもらって、行動に移すきっかけとすることです。
名物かつおたたきのように、火つけるぜよ!
校長先生との意見交換のなかでは、どうしてタイムカード、ICカードを使って労働時間の把握が必要なのか、いまひとつしっくりこない、という話をもちかけていただきました。
僕としては次のことをお答えしました。
第1に、労働法制上、使用者責任としての労働者の時間管理は必要。市立学校であれば、その責任者は市教育委員会ならびにその権限の一部を移譲された校長にある。
そもそも、これまで小中学校は、時間管理がなおざりで、途中の休憩時間もほとんど取れていなかった。これは、労基法違反が横行していたのであり、そのくらいの認識でいてほしい。
第2に、自己申告だけで時間を報告させるのは危険である。過少申告が横行しかねない。教員自身が月80時間時間外をこえると、カウンセリングとか面倒なことになるからと言って、79時間がいっぱいになったりする学校もある。実際、愛知県のある地域の学校で過少申告があるのでは、ということは国会でも議論となったこともある。
もっとも、タイムカードなんかも、押したあと残業をするということも起こるので、万能ではない。
第3に、教職員が自らの働き方を振り返る意味でも、時間を把握しておく必要がある。自分の働いている時間がわからないまま、長時間労働を削減しようとしても、それはテストをしないまま学力向上をやろうと言っていることに近い。
(あとでもっといい比喩が思い浮かびました。体重計にのらないで、ダイエットしようとするようなものだ。)
第4に、万一過労死や病気となったとき、客観的な記録がないと、場合によっては10年とか裁判でたたかうことになる。実際そういう例は全国いっぱいある。教職員の家族のためにも、正確に記録しておくことが必要だ。
大学の先生がそうであるように、かつては小中高校の教員もクリエイティブな職で、成果と時間は必ずしも関係しないので、時間管理はなじまない、という考え方が強くありました。
しかし、教員勤務実態調査などを通じて、学校の長時間労働がひどすぎるということがわかり、しかもそれは、教員が自発的に残業していている部分だけでなく、いろんな事情で仕事が多くなっている、やらざるをえない状態で働いている、ということがわかってきました。なので、労働時間も正確に把握して、まずは現状をきちんと理解しようという流れになってきたのだと思います。
以上、少なくとも4つの理由から、学校での正確で客観的な労働時間の把握、重要です。
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