妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

【忙しい学校 どうする?】校長向け研修に労務管理を入れよう

ここのところ、教育委員会や校長会、教頭会、自主的な研究会などにお呼びいただき、全国各地で小中高の管理職向け研修をしています。

地酒(またはワイン)、史跡、海鮮などが好きなものですから、たいていどこの地域に行っても、何かは堪能でき、なんともラッキーです。
テーマは働き方改革、業務改善が最近は多いのですが、組織マネジメント、地域協働、人材マネジメントなども。

教育委員会や校長ら、さまざまな方とお話をしていて、つくづく痛感しているのは、おそらく5年前や10年前と異なり、学校の長時間労働を見直す必要がある、と強く感じている方も多いということです。

長時間労働の問題は、何も今に始まった話ではなく、昔からの話。1950、60年代にもいろんな闘争や議論がありました。その後、給特法の影響もあってか勤務時間の把握などはすっかり下火になった時代が長く続きましたが、最近は再熱、今は風が強く吹いているなと感じます。

先日もある市で、校長や教務主任等を対象にワークショップ型研修をしましたが、部活動の見直し、掃除の時間や朝学習も今のままでいいのか、全国学力テストの試験対策に貴重な3月や4月の授業時間がとられるのは疑問、といった声も、当の校長や教務主任からあがりました。会議の精選などにとどまらず、学校の当たり前を広く見つめなおすことが大事です。ぜひひとつ二つでも、具体的な行動に移していきたいです。

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ひとつ、まだ自分も十分できていませんが、管理職等向け研修でぜひやりたいことがあります。
それは、労務管理の知識、情報をもっと入れていくことです。
校長等はとっても人格者で”いい人”が多いです、全国どこでも。さすがに子どもたちを相手に長年教鞭をとられただけはあります。(例外的にパワハラや人権感覚の薄いの人も稀にいますが。。。)

しかし、組織の長としては、”いい人”だけではダメです。とりわけ、労基法の基本をあまり理解していない人や労務管理の必要性の意識がまだまだ低い方もちらほらいます。

教員は長く時間管理になじまない、などとされてきたこともあり、そのレガシー(負の遺産)と言えますが、でも、今日の長時間労働の実態を見ると、そうとばかりも言っていられません。

ぼくは、本『「先生が忙しすぎる」をあきらめない』などを書くとき、いくつか、教員の過労死・過労自殺で公務災害かどうか(=労災かどうか)が争われた事案の判決文や裁定結果を読みました。いまもまだ読み込めていない資料もあり、勉強中です。

このひとつでもよいので、管理職等の研修で一緒に読む時間をつくりたいと思っています。

そうすると、なぜ労働時間の把握が必要なのかが納得できると思います。公務災害かどうか争いが長引いている最も大きな原因のひとつは、労働時間の記録がないためです。タイムカード等で管理されるのはイヤという先生もいますし、どうせ入れても残業代は出ないのだし、過少申告が横行するという方もいます。ですが、ご自身が万一倒れたときのご家族のためにも、正確な時間の記録は必須です。

また、教員の熱心さに甘えて、と言えば言い過ぎかもしれませんが、管理職はたいして業務量の調整とか、相談にのってこなかったのではないでしょうか?ちょっとした声掛けくらいはしたかもしれませんが、多くは先生たちにお任せだった(教員の自主的な裁量での仕事とされてきた)などとばかり言っていられないことも、よーく実感できると思います。

過労死等の事案を読むと、驚くほど共通点があるのです。それは、多くの場合、その教員が相当強い精神的、肉体的負荷のかかる仕事をしていたこと、周りからのサポートがおそらく少なかった(おそらく周りも余裕がなかった)こと、使命感から一人で抱え込んでいた傾向が強いことなどです。

もちろん、マネジメントや業務改善だけで解決できる話ではないかもしれません。教員定数の改善等も急務だと思います。しかし、もっと職場で何とかできなかったのか、悔やんでも悔やみきれないところがあります。

自分の本の宣伝をしたいわけではありませんが、ぼくの本では、過労死等の事案をそれぞれはごく短くですが、報道等された現実を収録しています。「その箇所は本当に読むのがつらかった」という感想を多くの方から聞きました。

そして、多くの教職員が「他人事にはできない、自分の学校で起きてもおかしくない話」、「自分も似たような働き方をしていた」という感想をおっしゃいます。

危機感を変に煽りたいわけではありませんが、学校教育の関係者は、もっと危機感をもっていいと強く感じています。今日はここまでです~。

 

「先生が忙しすぎる」をあきらめない―半径3mからの本気の学校改善

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