妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

新刊 『教師と学校の失敗学:なぜ変化に対応できないのか』できました~!

みなさん、怒濤の4月も終盤、やっとひと息というかたも多いかもしれませんね。

新型コロナのこともあって、なかなか気が休まりませんが、うちはコナンの映画を親子で観に行ったり(この10年あまりずっとそう。コナンとキングダムはいつか終わるのか?)、家族で大富豪(トランプ)対決したり(賭けグルイという漫画にハマってます、こっちももうすぐ映画化ですか~)、息抜きしつつ過ごしています~。

 

それから、一番下の0歳児の保育園が4月から始まりました~。母乳に慣れていることもあって、粉ミルクをまだそれほど飲めないので、いまは午前中でお迎えですが、保育園、とても助かっております~。

 

さて、保育園と同様、本当にありがたい存在が「学校」です。1年前のいまごろは全国一斉休校中でした。

 

休校中も、再開後も、この1年あまり、ほんと子どもたちはガマンすることが多いですね。お母さん、お父さんたちも、特に休校中は、仕事もハードななか、子どもの勉強をみたりと、たいへんでした。自分も経験して身に染みていますが、在宅ワークと育児(未就学~小学校)を両立させるのは、至難の業です。

 

そこで、このたび本をつくりました!『教師と学校の失敗学:なぜ変化に対応できないのか』。コロナに翻弄されたこの1年あまり、学校教育の反省点はどこにあるのか、真正面から捉えて、振り返るものです。

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「失敗学」と付いていますので、「また妹尾は学校を批判するのか?教職員だってたいへんなか一生懸命やってきたのに」と思われるかたも少なくないと思います。

 

先般も、小中学校に児童生徒一人一台のPC端末が整備されたはいいけれど、全然活用できていない学校もある(もう少し正確には、かなり日常使いしている学校と、徐々に使い始めている学校と、初期設定もこれからという学校があり、差が広がっている)。

 

1年前の反省はどこに行ったのか?休校になったとき、子どもたちとつながれなくて、プリント配布くらいで、くやしい思いをした先生は多いし、子どもたち(特に低学力層や家庭がしんどい子)のケアも不足した。気合いだけでなんとかなる問題でももちろんないが、端末が来ることは予定されていたのだから、学校と教育委員会でもう少し準備できた部分はあるのではないか、と思い、やや雑にSNSでつぶやいたところ、賛否両論でした。

 

「妹尾は現場を知らない。コロナ対策もしつつ、教育課程(≒教科書)を終えるまで、本当に毎日たいへんで、ICT対応なんてやる時間なかった」。そうおっしゃる先生たちも多かったです。

 

そうした現場の疲弊やたいへんさには共感しつつも(ぼくのライフワークのひとつは学校の多忙改善です)、だからと言って、本当にこのままでいいのか、時間がないと言っても、本当に時間はまったくなかったのか、本当に工夫や段取りができる余地はなかったのかなどを、もっと突っ込んで考えていくことも必要だと思っています。もちろん、基本的な環境整備など教育委員会側の役割・責任もとても重大ですから、学校だけが悪いとか言いたいわけではありませんが。

 

うがった見方と言われるかもしれませんが、「わたしたちは一生懸命やっている。だから多少問題があっても仕方がないよね」というマインドが、教職員や教育行政職員にはないでしょうか?

 

「はじめに」でこう書きました。

「コロナでたいへんな状況のなかで、私たちは子どもたちのことを思って、一生懸命頑張ってきた」


 そうおっしゃる教職員は多いですし、実際に献身的に尽力されてきた方が大半かと思います。私自身も小中学生と高校生の保護者でもありますが、先生方にはとても、とても感謝している部分もたくさんあります。


 ですが、努力したかどうかや頑張ったかどうかは、プロフェッショナルな世界ではあまり意味をなしません。問われるのは、結果、成果だからです。たとえば、私も、うちの子どもたちもラーメンが大好きですが、いくら何十時間もスープを煮込むのにかかったと言われても、マズイ店には二度と行きません。大事なのは、意味のあることに努力することです。

 

全国各地の先生たちを取り巻く状況は本当に過酷です。そこは、国も自治体も学校も、また保護者等も協力して、しっかり解消していくべきことも多いです。ですが、同時にメスを入れないといけないのは、学校の頑張り方がいい方向だったのかどうか、本当に子どもたち本位で動けていたのかを、振り返ることです。そんな思いで、本をつくりました。

 

「はじめに」ではこうも書きました。

 なぜ私がいま、このタイミングで本書を執筆したのか。それには理由があります。

(中略)教職員や行政職員からは「休校中のことなど、もう忘れてしまいたい」「触れてほしくない」という印象を受けることが少なからずありました。


 一例としては、「学校評価」といって、各学校が年度末などに必ず振り返りを行い、自己評価等をする仕組みがあります。ウェブ上で公開されている2020年度の評価結果(報告書や評価シートなど)について、試しに20校以上(小~高、地域はさまざま)を調べて読んでみましたが、休校中の子どもたちへのケアや家庭学習支援、また学校再開後のICT活用などについて、しっかり反省しているものは、残念ながら1校もありませんでした。


 すべての学校が同じとは言いませんが、かなりの数の学校が、過去を振り返り、反省し、学習する組織にはなっていないと予想します。(中略)

 

 読者のなかには、「失敗」と呼ぶ(あるいは呼ばれる)ことに抵抗感がある方もいると思います。本書では有効な手立てを打てなかったこと、子どもたちへの悪影響が生じてしまったことなどを「失敗」と捉えていますが、失敗はいまをよりよくするための最良の「教材」「テキスト」である、とも考えています。私の好きな本の一節にはこうあります。

「我々が進化を遂げて成功するカギは、『失敗とどう向き合うか』にある」

 

 紹介が長くなりましたが、よかったらぜひご覧ください。感想、または妹尾の認識が不足しているところや改善点は、ぜひ遠慮なくお寄せいただけると、ありがたいです

 

 

 ◎関連本 企業等の失敗から学校はなにが学べるのか。重版(4刷目)です!

学校をおもしろくする思考法―卓越した企業の失敗と成功に学ぶ

学校をおもしろくする思考法―卓越した企業の失敗と成功に学ぶ

  • 作者:妹尾 昌俊
  • 発売日: 2019/07/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

多忙の問題などにはこっちのほうが切り込んでいます。『教師崩壊』、好評いただいています。