妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

「消滅」自治体ショックについて

今日(5月9日)の各紙朝刊では、日本創生会議の人口推計結果が紹介され、2040年、20~39歳の若年女性の数が半減する自治体が全国で896自治体に上るということが1面トップで扱われていました。

たとえば、
朝日新聞記事
毎日新聞社説
TBSニュース

入念にチェックしたわけではありませんが、若年女性も減って、このままでは消滅していってしまうかもしれない自治体(”消滅可能性都市”)について言及する新聞記事やネットでの投稿が多いように感じます。たしかに、これはインパクトのあるデータですが、個人的には、少し違和感もありました。

第1に、この試算の前から、人口減少はいろんなところで言われてきました。今回の推計では、人口問題研究所の前提と異なり、地方から東京への人口移動が続くという仮定をおくと、地方での人口減少がより激しいかたちで予想されるというものですが、その人口問題研究所の推計によっても、今回ほどじゃないとしても、人口減少や少子化が進むことはわかっていたわけです。

たとえば、2010年から2040年の間に
20~39歳の若年女性の数が約60%減少すると今回推計された、ある市の話ある新聞記事によると、市の職員さんが「ショッキングな数字」とコメントしたと紹介されていたのですが、従前の人口問題研究所の推計でも、同女性の数は55%減るという推計でした。この5%が大きいかどうかは評価が分かれるところではあるでしょうが、市の職員なら、人口減少が深刻化することは、多かれ少なかれ前からわかっていたんじゃないでしょうか?

もっとも、今回の推計のように、出産適齢の女性の数にフォーカスして数字を出すことで、より現実を考えやすくしたという意義はあると思いますが。。。

第2に、消滅都市、消滅自治体の話は、つい10年前に、平成の大合併で私たちは経験しました。財政力が乏しく、また人口減少が大きな自治体は、合併という道を選んだところが多かったと思われます。今に始まった問題ではないのです。

この第1の点と第2の点に関して、
日本創生会議の提言には、よく書いていています。
日本の人口減少は「待ったなし」の状態にある。・・・眼前に迫っている「不都合な真実」とも言うべき事態を、国民が正確かつ冷静に認識することからすべては始まる。

要するに、今に始まった問題じゃない(すでに進行中の問題だ)し、前から言われていたことだけど、今回改めて警告しますよ、危機感を共有しましょう、ってことかなと受け取りました。

次に3点目として、若年女性の減少が大きい市町村が多い都道府県は、東北で震災復興に取り組んでいる地域や、南海トラフ巨大地震が仮に起きたら大きな被害が出るであろう地域(和歌山、徳島など)です。2重、3重のチャレンジに直面しているという現実を改めて感じました。

第4に、おそらく各種報道では消滅都市の話にフォーカスされていることが多く、あまり言及されていないふうに見えますが、この人口推計は、「ストップ少子化・地方元気戦略」という提言のバックデータです。この提言は論点が大変よく整理されているので、改めて勉強になりました。ざっとでもご一読されることをおススメします。


日本創生会議のHP(ここに提言や人口推計データが公表されています)

この提言(戦略)では、若年層が結婚し、子どもを産み育てやすい社会にすることや、女性や高齢者の人材が活躍しやすい社会にすることなどが、たいへん優先順位の高い課題であるということを書いています。社会や政策の優先順位に何をおくかはさまざまな考え方がありますが、今回の提言は人口推計などのデータで危機感を共有することで、説得力を高めているように感じました。