妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

当たり前のことしか書かない学校経営計画はやめよう

先日半ばボランティアで学校づくり×地域づくり考える研修(ワークショップ)をやってきました。学校の教育力をより高めるために、地域との連携が必要なことや具体策を考えてみようという研修です。1時間とたいへん限られた時間ではありましたが、多忙な小中学校の先生方の時間を割いて、多くの方がとても前向きに参加してくれました。

本題に入る前に、僕が冒頭で伝えたのは、次のことです。

●たくさんの教職員がほんと一生懸命毎日働いている。でも、ちょっとしたところで、その頑張りや、学校の課題が保護者や地域はもちろんのこと、学校のなか(教職員の間)でも伝わっていないことが多くて、もったいない。

●たとえば、今回研修するA小学校は、HPで学校の中期方針という欄があるが、リンク切れになっていて、どんな学校にしたいのか外の人間は伝わらない。

●また、学力向上策をまとめたアクションプランをHPで公開しているが、23年度でとまっているし(今年はやっていないの?)、資料はグラフの見方が作成者以外には分からないものになっていて、わかりづらい。

●今日はB中学校も参加してくれている。学校経営計画を見てみよう。生徒1人1人を大切にします、分かりやすく楽しい授業をしま
すなど書いているが、これで重点的な課題や方針は見えてくるだろうか?

●パン屋がうちは美味しいパンを焼きます、と言っているのと変わらないのではないか?(=計画上、当たり前のことを言っているだけ)。しっかり目標は共有していると言えるだろうか?

わずか10分くらい学校のHPを見ただけの感想なのですが、案外、ヨソモノから言われないと気付かないこともあるようです。特に今回の学校に限らず、学校経営計画が当たり前のことしか書いてないケースは大変多いように見受けられます。

これは、ある程度仕方ないことでもあります。うちは東大・早慶を目指します的な一部のエリート私立学校などと異なりますから、公立学校はたくさんの課題やたくさんの方向性に目標を定めざるを得ないところはあります。子どもも多様ですし。

しかし、それにしても、もっとシャープにできないものだろうか?というのが僕の感想です。また、教職員はもちろん、保護者や地域の人も、学校の目標には、ほとんど口をはさまないのです。きつく言うと、何も言っていないのに等しいような学校経営計画であっても、そうだ、そうだとみんな、なんとかく(かたち上は)納得したような素振り。誰かが「裸の王様!」って言わないといけないのではないでしょうか。

たとえば、鳥取岩美中学校では、過疎化が進んでおり、まちに元気がない現状(また将来)を見て、中学校がまちづくりの拠点、場としても機能していく、という方向性を出しています。こうした方向性、目標は、もっと具体化する必要はあるにせよ、けっこうわくわくするものがあります。最近楠木健先生の「ストーリーとしての競争戦略」という本を読み返していますが、そこでも、企業経営の話ではありますが、よい戦略とは、思わず人に話したくなるようなストーリーを含んでいる、ということが骨子になっています。

予算にも、人繰りにもいろんな制約も多い公立学校ではありますが、もっと面白くて楽しい学校経営計画が立てられる余地は大きいと思っています。