妹尾昌俊アイデアノート

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(読書ノート)残念な教員―学校教育の失敗学①

ちょうど今は卒業式シーズン。先生たちに感謝で涙というシーンもあれば、ああやっとオサラバできるぜ~的な方もいることでしょう。

さて、林純次さんの「残念な教員―学校教育の失敗学」は、小中高校の教員の問題点を浮き彫りにして、自身の授業法などを紹介しつつ、提言したもの。

いやあ、これは好き嫌い分かれるだろうなあという一冊です。おそらく、現役の教員が読めば、反応は3パターン。そんなことはない!と反論したくなるか、今まで言いにくかったことを言ってくれたよと共感するか、あるいはその両方。僕は学校の先生ではありませんが、”その両方”という反応です。(この理由は後で述べますが、長くなるので、別エントリにします。)

”残念な”○○という表現は最近はやっているんでしょうか?ときどき見かけますよね。さて、本書では、”残念な教員”とは何か。それは、「生徒を成長させない」ということです、と述べています。

●生徒の気持ちに超鈍感で、生徒を平気で傷つけてしまう教員
●”いい先生”と生徒から思われるにとどまり、生徒を伸ばせない教員
●教育の成果は見えてくるまで時間がかかる、などを言い訳にして、プロフェッショナル意識の乏しい教員
などなどが、林先生の実体験をもとに紹介されています。

ほんとにこんな先生ばかりなのか、については議論・疑問があることでしょうが、なぜこうした人がいるのか?第1章を読めば、それは、学ばない教員があまりにも多い、ということが書かれています。「なんだ、子どもには勉強、勉強言っておいて、自分はたいしてやってないのか!」って怒られそうですよね。。。

興味深かったのは、教育関連の本を年間20冊以上読む教員の割合は23%という、教育新聞社が実施したアンケートが引用されていたこと。N数も書いてないし、この元調査自体がかなりバイアスがかかっている可能性があると新聞記事中も書かれていますが。。。それはさておき、この数字、みなさん、どう思いますか?
http://www.kyobun.co.jp/feature/20110804.html

コップに半分しか水が入っていないと見る人もいれば、まだ半分残っていると思う人もいるという話に似ているかもしれません。解釈は分かれるでしょう。
著者が述べるのは、自分の仕事に関係する本を月2冊も読まない輩が約8割とはどういうことやねん!ほんまにプロか?という解釈です。

一般の日本人平均から見ると、月に3冊以上読んでいる人ってそんなにいるのでしょうか?文化庁が実施した平成25年度「国語に関する世論調査」(有効回答数2,028)によると、1カ月1冊も読まないが約47.5%、1、2冊が34.5%で両方を合わせると約8割ですね。ちなみに7冊以上は3.6%しかいません。
http://www.bunka.go.jp/kokugo_nihongo/yoronchousa/index.html

別の調査を見てみましょう。「ライフメディア リサーチバンク調べ」(回答数1200)によると、「あなたは普段、平均してどのくらい本を読みますか?(雑誌・コミック・電子書籍等は除く)」について、2~3週間に1冊以上の人は約3割です。おおむね、文化庁の結果と傾向は似ていると言えそうです。
http://research.lifemedia.jp/2014/10/141029_reading.html

まあ、こういう調査は、年齢別に差が大きいと推察されるので、その比較をしないといけないし(なぜか上記の文化庁の調査は年齢別等の詳細結果はアップされていない模様)、読書の定義にもよるし(雑誌やマンガ入れてよいか?とか)、だいたい本なんて、1冊を全部読むことが大事とは言えないし~とか、つっこみどころは満載です。

それはさておき、ということですよ、読書量については学校の先生も世間一般並み、ということです。もっとも、
前述の教員への調査は教育関連本という限定があるので、読書の総量はもっと多いかもしれませんが、まあ、そう世間的な平均と大きくはずれていないと推察できます

しかし、著者も言うように、教育職でありながら、これでよいのか。良質なインプットなしで、よいアプトプットができるのかという点が問題です。上記の様々な読書のデータは前述したとおり、いろいろな限界や問題、バイアスなどもありますけれど、ひとつ教員のあり方を考える、よい素材であると感じました。

おっと、本の全体を紹介するつもりが、この局所的なところで熱くなりすぎました。次のエントリで本書についてさらに考察します。

残念な教員 学校教育の失敗学 (光文社新書)/光文社
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