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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

(読書ノート)「全員経営」①:”チーム学校”の参考書に

学校づくり おススメ

”チーム学校”ってなに?

2015年度に学校教育で大きく取り上げられたことのひとつは、教員の多忙化と”チーム学校”だろう。

 

ざっくり言うと・・・・・

  • OECDの調査などで日本の教員は世界一労働時間が長いことが判明(調査は中学校が対象)
  • その一方で、学校が対応しなければならないことは増えているし、高度化もしている
  • かと言って、少子化だし、教員数をすぐに増やすのも難しそう(財務省文科省が長年どんぱち)
  • 教員に授業などの教育活動にもっと専念させるためにも、スクールソーシャルワーカーやカウンセラーなどの専門家をもっと学校の中に入れて活躍してもらおう
  • でもね、教員がいじめ問題などを他に任せきりにするわけじゃないからね。子どもたちのために、そうした専門家も含めてチームとなって取り組もうという意味だよ

 

という流れにある。そうか、そうかという、素直な方もいると思うが、おそらく現場の教職員にとっては、いまひとつよく分からない、納得がしかねるところも多いのではないか?例えば、次の疑問だ。

 

  • ”チーム学校”、what's new?  チームワークが大事なのなんて、前からそうじゃねえか?
  • 専門家が入るといっても、常勤じゃない場合も多いだろうし、ほんとにチームになるのかね?むしろ今のチームワークを乱さない?
  • 教員が忙しいことが問題なら、教員を増やすか、仕事を減らすかが正攻法だろう。教育にお金を増やせないから、けっきょくまた精神論言ってんじゃないの?

 

などなど。これらの疑問は、僕自身がそうかもと思っていることだし、疑問に答えようにも、一概にどうとは言いにくい。学校によって課題もビジョンも異なるから、”チーム学校”が必要な背景も学校によって違う部分もある。そしてこれから、いろんな実践パターンが出てくると思う(当然、例えば、カウンセラーらの専門家とうまく協働してよくなる学校もあれば、うまく活用できない学校も出てくるだろう)。

 

とはいえ、ある程度、共通して”チーム学校”が機能する重要な秘訣もあるはずだ。中教審の答申を読むと、専門性に基づくチーム体制の構築、マネジメント機能の強化、教職員一人一人が力を発揮できる環境の整備などについて書かれているが、どうもバクッとしている。

 

学校関係者も僕も、”チーム”あるいは”チームワーク”についてどのようにすれば機能するのか、おそらくもっと深く掘り下げることが必要だろう。

 

一人ひとりの「知的機動力」を発揮する起動戦としての”全員経営”

前置きが長くなったが、この観点で読むと、とても参考になりそうな本がある。野中郁次郎勝見明『全員経営-自律分散イノベーション企業成功の本質』(2015年)だ。”全員経営”これもまたマジックワードかもしれないが、本書では松下幸之助の次の言葉が引用されている(p.18)。

 

衆知を集めた全員経営、これは私が経営者として終始一貫心がけ、実行してきたことである。全員の知恵が経営の上により多く生かされれば生かされるほど、その会社は発展するといえる。

 

そして、野中先生らはこう述べる(p.7)。

市場の変化が加速し、複雑化し、不確実性や不透明性が増すなかで、今、企業は戦い方の大きな転換を迫られています。

すなわち、戦力の大きさで競合相手を圧倒する消耗戦から、一人ひとりが「知的機動力」を発揮する機動戦への転換です。それはまさに、全員経営のあり方そのものです。

 

この文脈で言うと、学校はもともと、機動戦型である。言い換えると、自律分散型で、全員経営の組織である。個々の教員がしっかりしていないと、授業はうまくいかないのだから。とはいえ、大量退職・大量採用の今日、一人ひとりがうまく動けているかは問われている。

 

また、もうひとつのポイントは、松下幸之助の言葉に象徴されているように、全員の知恵が組織的に生かされているかどうかだ。多くの学校ではここはかなりあやしいのではないか。

 

では、個々のメンバーが知恵を出して自律的に動くとと同時に、全員の知恵を生かした経営をするには、リーダーはどのようマネジメントし、メンバーはどのような考え方と動き方をすればよいのか。本書にはその参考となる事例がたくさんある。JALの再生、ヤマト運輸のソーシャルイノベーションである、まごころ宅急便、釜石の奇跡と言われた防災教育、良品計画の復活劇などなど。本書のメインの対象は民間企業の経営者やビジネスパーソンだろうが、学校関係の方にもどれもヒントになることが多く含まれている。

 

長くなったので、具体的な事例の紹介は次回に。

この本の事例をもとにディスカッションする研修をすると面白いかもしれない(やりたいひとは連絡ください~)