妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

【忙しい学校 どうする?】学力テストの平均点がそれほど大事かね?

日本の教育行政や学校現場には、熱心で人のいい人は実に多いけれど、変な方向に労力を割いている(あるいは渋々割かざるを得ない)人もいる。最近、全国学力・学習状況調査(以下、学力テストと略)に関連して、立て続けに嫌だなと思うことを聞いた。

全国各地でこうだとは言わないが、いくつかの地域では、学力テストの結果を気にするあまり、次のようなことが起きている。

  • 都道府県教育委員会は市町村教育委員会へプレッシャーをかけ、
  • 市町村教育委員会は学校へプレッシャーをかけ、
  • これを受けた学校の管理職は、5年生や6年生の学級担任(中学校であれば2年生や3年生の担当教科の教師)にプレッシャーをかけ、過去問いっぱいやらせ、
  • 当の教員たちの中には、平均点を下げるような子(学力が伸び悩んでいる子、障がいなどが背景でそうなっている子も含まれる)は、当日休んでくれたらいいのにって内心思ってしまう。
  • 過去問をやるのが悪いとは限らないが、授業時数の少ない中、過去問対策に精を出して平均点を上げた先生や学校が評価される。ほかの力を伸ばすことを犠牲にしていても。
  • 地域によっては都道府県や市独自の学力試験を行っている。これも、建前は学力向上や授業改善に役立てるだが、裏目的としては、全国の学力テストの順位や平均点を上げることに活用することにある。
  • そして、この独自テストの準備(試験問題の作成や対策)や採点作業に現場教員の貴重な時間がまた割かれる。

勉強中疲れて寝てしまった受験生

 

※次の記事ではこう指摘している。

全国学力テストは「建前」としては学習状況の把握が目的とされているが、その順位を都道府県、各学校が必死になって争っているのが現状だ。そのために、過去問題をやらせるなど学校が「対策」を講じているのは、もはや「常識」でしかない。

bylines.news.yahoo.co.jp

本来の学校教育(それも義務教育段階)の果たすべきことはなんだったのだろう?

学力テストをして平均点に遠く及ばない子の学力を、どうしたら付けられるのか、そこにプロの知恵を絞ることにも、あるのではないか?とにかく過去問やらせて慣れさせて、多少点数上がったとしても、その子は本当にハッピーなのか?

学力テストの導入目的とはいつの間にか逆行するようなことが、現場では当たり前になっている。実に危うい。

忙しい、忙しいと言いながら(たしかに学校の多忙化は事実なんだが)、あるいは、教科書を終えるだけでもキツキツだと言いながら、ここにそこまでの時間と労力を割くのか?というところに使っていることはかなりあるのではないか?

 

本気で子どものどんな力を伸ばしたいのか、よくよく再確認したい。言い換えれば、なんのために先生やっているの?ってところにも重なる話。

学力テストの結果はひとつの通過点なり参考資料に過ぎない、教育委員会にいくらごじゃごじゃ言われようが、うちの学校で大事なことはテストの平均点じゃない、ここにある。そう言える校長は、もっといないものか?

うちの学校では、そりゃ、生きる力を伸ばすことですよ。知徳体を伸ばします、学力テストだけじゃあありません。そう言ってくる校長は多い。これは、まちがっているわけじゃない。でも、それではぼやっとし過ぎているし、うちは塾じゃないと言っているのと同じ内容であり、特段のメッセージ性はない。

なにか、しかと言えるものがないという人は、残念だ。マネジメントやリーダーシップの議論以前の問題があるように思える。

多くの関係者には悪意はない。むしろ、仕方がないとか、善意で(よかれと思って)進んでいる。わたしも数字で突き上げがくるんでね、と。だから、軌道修正が効きにくい、よけい危うい。

繰り返す。日本の教育行政や学校現場には、熱心で人のいい人は実に多い。けれど、変な方向に労力を割いていることはないだろうか?

 

senoom.hateblo.jp

senoom.hateblo.jp

senoom.hateblo.jp