妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

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【忙しい学校 どうする?】10回、20回も校内研修やるなら、たまには別のこともやろう

先日、ベネッセより「第6回学習指導基本調査 DATA BOOK」が公表されました。みなさん、読みましたか?小中学校については1997年にスタートした調査なので、約20年の経年経過を見ることができる、貴重なデータです。しかも、回答数もかなりの規模。直近では、小中学校とも、それぞれ約3千人の教員が回答しています。高校のデータもあります。

⇒こちらに資料はあります。

第6回学習指導基本調査 DATA BOOK(小学校・中学校版) [2016年] │ベネッセ教育総合研究所

 

3/4以上の小学校教師は、英語を教えることに自信がない

一部これ聞いてなにに活用するんだろうか、フシギな設問もありますが、いくつか興味深いデータもあります。

たとえば、小学校の教員に英語指導に自信があるかをたずねたところ、現在の授業や活動の指導について、「自信がある」(「とても自信がある」+「まあ自信がある」、以下同)と回答した教員は24.0%、今後の教科としての英語指導になると、「自信がある」の回答がさらに低く、18.6%にとどまっています。「とても自信」があると回答した人は、両方の設問とも2%もいません。

こういうのを見ると、国や教育委員会はすぐに「研修が必要だ!」とかおっしゃるのですが、ちょっとやそっとの研修で、多感な小学生たちを相手に十分授業できるようになるのでしょうか?

教科書と教材の充実はもちろん必要でしょうし、高学年は教科担任制にする、中学校と授業交流する、近所の学習塾と組む、タブレット等でも学習できる環境をもっとつくるなど、思い切ったことが必要かもしれません。ぼくは英語教育の専門家ではないので、詳しくはわかりませんが、いくつかの研究校や地域で試行、実践したことをよく検証してほしいです。

小学校では20回、中学校でも10回、校内研修している

多くの方はすっと読み飛ばすかもしれませんが、ぼくがこのレポートのなかで、一番衝撃的だったデータが次です。

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校内研修の年間実施回数の分布です。小学校では、2010年も2016年も、11~20回がもっとも多く約4割で、すべての平均でも約20回実施しています。21回以上という学校も約3割もありますね。中学校では、かなりばらつきがありますが、平均では約10回で、2010年と2016年では大きな差はありません。

回数が多ければよいという話ではありませんが、正直、かなりの回数やっているな、頑張っているな~というのが率直な感想です。

ちなみに、校内研修の回数について、なにか公的な調査はないかなと探してみたら、身近なところにありました。なんと、全国学力・学習状況調査です(恥ずかしながら、こんな選択肢があったの、今日まで知りませんでした)。

直近の2016年度調査によると、「授業研究を伴う校内研修を前年度に何回実施しましたか」について、小学校は15回以上という学校が26.3%と最も多いのですが、7、8回も18.2%、5、6回も16.7%とけっこうあります。

中学校では、15回以上が14.5%ですが、もっとも多いのは3、4回という学校が23.7%、5、6回も18.4%です。

ベネッセの調査のほうが回数多いのは、全国学力・学習状況調査のほうは「授業研究を伴う」と条件があるせいと推察します。

校内研修=授業研究or教科の勉強なのか?

ただ、ベネッセの調査では、なにについて校内研修しているかも聞いています。その結果は次のものです。

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ん~、小中とも教科指導の実施率が高いですね。まあ、これは当然といえば、当然。特別支援教育についてもけっこう実施しているのは、少し驚きでした。

アクティブラーニングをテーマにする学校もけっこうありますね。

実は、ぼくが注目したのは、ズバリ、「その他」です。小中とも2割弱ですね。つまり、これは、校内研修は、教科指導や授業研究に関係するものがほとんどで、「その他」はあまり実施していないこと(特別支援教育や生徒指導は例外だけど)を意味しています。

たとえば、友人の柳澤さん(『本当の学校事務の話をしよう: ひろがる職分とこれからの公教育』の著者)は、校内研修で、学校財務や子どもの権利などをテーマにしていますが、これなどは「その他」ですよね、この調査上は。

あるいは、ぼくが好きな(得意な)学校の運営や組織マネジメント、地域連携については、選択肢にありません。。。これも、「その他」ですね。キャリア教育も選択肢にないなあ。。。

10回、20回も校内研修やるなら、たまには別のこともやろう

そこで、今日の本題です。タイトルにもしましたが、忙しい、忙しいと言いながら、こんなに校内研修の場があるなら、もっと授業研究や教科指導以外にも、活用しませんか?
※誤解のないように申し添えますが、授業研究や教科指導についての研修が要らないとか、言ってませんよ。

柳澤さんの例を紹介しましたが、財務研修はおススメです。やはりコスト意識が高まりますし、いま子どもの貧困が大きな問題となっているなか、重要です。気安く私費(学校徴収金と呼ばれる学級費や教材費など)を増やしてくれるな、と申し上げたい。

コミュニティ・スクールかどうかはさておき、地域連携・協働なども校内研修のテーマになりえます。先日、ぼくは田原市の中学校での研修に関わりました。もちろん、先生たちのがんばりも大事ですけれど、地域などの資源、ネットワークを活かすと、もっとできることの幅が広がりますよ。

先生たちの多忙化も大きな問題です。であるなら、校内研修のうち、年1回か2回は、仕事や行事の棚卸しと仕分け、改善案のアイデア出しに使いませんか?

たとえば、

  • この行事の準備は毎年すっごく大変。もっと簡略化できないの?
  • ○○委員会と××委員会は似ているから、統合しましょうか?
  • 会議の短縮のために、こんな工夫をしようよ
  • 年度末にバタバタは嫌だから、これを今のうちにやっときません?
  • いつまでも独自の教材にこだりすぎるのはやめませんか?分担して年間のプリントを準備しておきましょう。
  • 部活は大きな社会問題ですよ。このまま全員顧問制ほんとに続けるんですか?

そんな会話は、忙しい中できない、とかいう教職員もいるのですが、、、校内研修を1回か2回つぶして時間をつくればええやん、って思います。

学校には大事なことが多い、ということも承知しています。しかし、いまの忙しい、忙しいというなかでは、ちょっとは我慢する、減らす、整理・統合するというものもつくっていかないと、体がもちませんし、余裕のないばかりでは、いい授業もできないと思います。

みなさん、どう思いますか?とくに管理職や研究主任の方!!!
新年度はムリのない、教職員が元気になる研修計画を練りましょう!

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