妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

【忙しい学校 どうする?】新人教員自殺の訴訟から考える、ずさんな労務管理

今日は、なにやらプレミアムフライデーだそうでして、いやはや最初聞いたときは、これはスーパーの安売りセールか、それとも特大エビ天でも出てくるのかと思いやした。

・・・と、まあ、冗談はさておき、午後3時には仕事を終えて人生楽しみましょうや、という趣向のようです。そんないいことなら月末金曜だけと言わずに、もっとやったらええがな、と思いますが。月1でも、なかなかやれる企業や役所は少ないかもしれませんね。

学校はと言いますと、おそらく今は年度末に向けて成績処理やら卒業式の準備やらで、忙しい時期ではないでしょうか?ここに地方議会の対応で質問なんて飛んでこようものなら、調査ものも出てくるかもしれません。なかなか3時に終われる先生は少ないでしょう。

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さて、昨日は忙しい学校をどうするか、考えて行動するうえで、重要な判決が出ました。朝日新聞2017年2月24日より引用します。

 東京都西東京市の市立小学校で2006年、新任の女性教諭(当時25)が自殺したことをめぐり、両親が地方公務員災害補償基金に対し、公務災害と認めなかった処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(後藤博裁判長)は23日、一審に続いて「自殺は公務が原因」と認め、処分を取り消した。

 判決によると、女性は同年4月に着任。2年生の学級担任になったが、保護者からのクレームなどへの対応が相次ぎ、7月にうつ病と診断された。10月に自殺を図り、約2カ月後に死亡した。同基金が自殺と公務との因果関係を認めなかったため、両親が提訴した。

 判決は「上司からの手厚い指導が必要だったのに、その形跡はない」と述べ、女性への支援が不足していたことを指摘。校外の初任者研修で指導担当者が「病休・欠勤は給料泥棒」と発言したことなども認め、「業務による強いストレスがあった」とした。
両親によると、女性は小学校時代の担任らにあこがれて、教員を目指したという。判決後に会見した父親(68)は「いまも教育の場でこういう状況が起きていると聞く。次世代を育てるという教育の場が正常化されることを願っています」と話した。(朝日新聞2017年2月24日)

 

保護者対応の問題、学校側の組織的なサポートのなさ、初任者研修での指導という名のいじめなど、反省し、検討しなければならないことはたくさんあります。

自殺を図る約1週間前、母親に送ったメールが残っています。

泣きそうになる毎日だけど。。。。でも私こんな気分になるために一生懸命教師を目指したんやないんに・・・おかしいね。今日も行ってきます。

なんとも悲痛な話です。昨年12月には、NHKの取材によると、ここ10年の間に少なくとも新人教員の20人が自殺したことが報道されました。

新任教員だけの問題ではありませんし、数の問題でもありませんが、このような自殺が一人でも起きてほしくない。そのためにどうするか、自分に何ができるかを問う日々です。

 

今日は今回の訴訟からも提起される、次の問題をとくに取り上げたいと思います。

女性の死後10年以上たっても決着がついていない理由の1つに、学校の労務管理のずさんさが挙げられる。

労災・公災では、過労死ラインと呼ばれる80時間超の時間外労働などが証明できれば、認められやすい傾向がある。しかし、代理人の平本紋子弁護士によると、今回の事件では、タイムカードなど客観的な時間を示す証拠がなかったという。

「自宅での仕事もかなりあったはずで、私たちは少なくとも100時間以上の時間外労働があったと考えていますが、客観的な証拠が乏しかった。長時間労働が認められれば、早く決着がついたと思いますが、トラブルなどの負荷の部分で争わざるを得ませんでした」(平本弁護士)

それでも裁判では、最大で月75時間程度の時間外労働が認められた。

(弁護士ドットコム記事2017年2月24日)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170223-00005747-bengocom-soci

教師の過労、働き過ぎの背景として、この記事で指摘されているように、学校の労務管理が甘々であることがあります。

そもそも、教員には残業代は出ない(正確に言うと、教職調整額といって4%だけ上乗せで支給されている)ため、労務管理という意識が管理職にも、一般の教員の側にも乏しいのが多くの学校の現実です。

データを確認しましょう。

文部科学省「教員勤務実態調査」(2006年)によると、教員の毎日の退勤管理をどのように行っているかという質問に対して、小学校では「報告や点呼、目視などで管理職が確認している」(66.2%)、「とくに何も行っていない」が18.1%です。「タイムカードなどで退勤の時刻を管理している」は0.1%に過ぎません。

中学校では、「報告や点呼、目視などで管理職が確認している」(70.7%)、「とくに何も行っていない」が21.5%です。「タイムカードなどで退勤の時刻を管理している」は0.2%に過ぎません。

高校では、「報告や点呼、目視などで管理職が確認している」(58.0%)、「とくに何も行っていない」が38.7%です。「タイムカードなどで退勤の時刻を管理している」は0.0%です。

まったく笑い話のようですが、「報告や点呼、目視」と言っても、管理職がいない(早く帰った)ときはどうしているのでしょうか?

 

さすがに、これは10年前の調査なので、ITの進化も目覚ましい最近はもっとよくなっているかと思いましたが、どうもそうとは言えないようです。

連合総研の2015年の調査によると、「出・退勤時刻の把握は行っていない」、「出勤簿への捺印により」、「把握しているかどうかわからない」といった回答が多く、これらを合わせると、小中学校とも8割近くに上ります。

出勤簿への捺印は朝出勤したかどうかの確認にとどまっている可能性が高い(つまり退勤時間の把握にはなっていない)と思います。蛇足ですが、霞が関の中央省庁でもいまだに、捺印による出勤管理が行われているところは多くあり、企業出身者の多くはびっくりしていました。

 

つまり、2つの調査からわかるのは、タイムカード等である程度はきちんと把握している学校は1割あるかないかに過ぎない、という事実です。

ご案内のとおり、これでも総労働時間の把握ではありません。職員室を出た後の部活動指導や自宅での持ち帰り残業も多いからです。それにしても、大変お寒い事情と言わざるをえません。

学校や教育委員会にはもともと予算がそうないという事情はありますが、教職員の働く環境という点に予算配分の優先度が低すぎたという結果でもあります。

今回の訴訟だけではありません。いくつかの訴訟をみても、教員の過労といっても、労働時間の認定は困難がつきまとっているようです。それから、もうひとつの問題として、残業が管理職の指揮命令下のものではなく、教員の自主的なもの、だから管理職の責任はない、といくつかの判例では認定されてしまっています。これもなんともオカシナ話なのですが、別のところで改めて解説します。

もっとも、労働時間を把握したからといって、教員の仕事が減るわけではありませんから、多忙化解消にはつながりません。しかし、多くの場合、学校というところは、管理職も同僚も大変マジメな人が多い職場なので、現実をよく見るというのはとても大切です。一生懸命子どものために働いているのはすごいけど、さすがにヤバい量だよと、気づけるようにしておくのです。

具体的にはどのようなことから始めたらよいでしょうか?

とってもアナログな方法ですが、各教職員が帰るときにはボードか用紙に退勤時間を書き込むといったことから始めてもいいかもしれません。

もっとしっかりした方法を行うなら、京田辺市の事例が参考になります。パソコンのログオフ時刻をもとに、翌日には管理職のPC上に各教職員の退勤時刻が一覧で出てくるようになっています。深夜まで残業している人の欄は赤くなりますし、昨日はだれが大変だったのか、最近遅くまで残ることが多いのはだれなのかなどの情報がわかります。

★図はイメージアップのためのデモデータです。

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 出所)文部科学省学校マネジメントフォーラム資料(2016年10月28日)

 

繰り返しますが、出退勤の時間把握をすれば、それで長時間労働の削減になるというほど甘くはありません。しかし、確かな現状把握なしに、問題や課題を明らかにすることはできません。

★今日はここまでにします。また近いうちにアップします。

senoom.hateblo.jp

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