妹尾昌俊アイデアノート

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妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

元気な学校づくりと地域づくりのヒントをお届けします!

新学習指導要領の前文に思うこと

あら、もう年度末。退職や異動を迎えられる方などもいらっしゃると思います。新天地でもご活躍を、ボンボヤージュ!

うちは、明日はファーストデイなので、映画でもみてこようかと話してます。

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さて、この年度末に小中学校の学習指導要領が公表されたというニュースを見ました。

そのうち、文科省さんのページでも公開されると思いますが、取り急ぎは、教育新聞のサイトにあります。

www.kyobun.co.jp

学習指導要領そのものの賛否についての意見はいろいろあると思いますし、ぼくも多少思うことはありますが、そこはいったん置いておいて、前文・総則は要注目ですね。

一人一人の児童が、自分のよさや可能性を認識するとともに、あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓ひらき、持続可能な社会の創り手となることができるようにすることが求められる。このために必要な教育の在り方を具体化するのが、各学校において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。

 この理念は、納得される方も多いのではないでしょうか?こんな子どもを育てたいというときのひとつのモデルとなると思います。この箇所は、先日、「まんがで知る教師の学び2」を出された前田先生も強調されていました。

ただ、よく考えたいのは、子どもの話だけではないですよね?ということ。自分の可能性を感じられること、多様な人と協働していくこと、持続可能な社会をつくることなどは、オトナにこそ必要だと思います。

ただ、こういう崇高な理念があるのに、学習指導要領の各論では次のような報道もあなされています。

小学校体育の指導要領で「異性への関心が芽生える」とした記述をめぐって、この記述をなくし、新たにLGBTなど性的少数者について盛り込むよう求める意見があったが、文科省は「LGBTを指導内容として扱うのは、保護者や国民の理解などを考慮すると難しい」としている。

朝日新聞2017年3月31日

http://www.asahi.com/articles/ASK3Z31FPK3ZUTIL005.html

 

「あらゆる他者を価値のある存在として尊重し、多様な人々と協働」(前文より)と言いながら、もう片方で、異性への関心については指導内容として扱うけれど、LGBTを扱うのは難しいと言う。

「なんや、美辞麗句だけか?」と見えるのは、性格のわるいぼくだけでしょうか???

道徳の教科書をめぐるパン屋か和菓子屋かもそうですが、このあたりに、学習指導要領のむずかしさがあります。

Aさん:
多様性をなるべく認めよう。学習指導要領は最低これは教えてねという内容であり、これを超えて扱うことは学校の裁量や工夫のなかであってよいのだから、なるべく禁欲的な(あれこれ盛り込まない)ほうがよい。

 

Bさん:
社会で活躍する人材を育てないといけないのだから、なんでも自由ってわけにはいかない。日本の文化や郷土について愛着をもった子に育っていくことも大事でしょう。そのためなら、一定の制約を指導要領で書くのはまっとう。

AさんとBさんの主張は、必ずしも二律背反ではありませんが、かなり衝突する場面はありそうです。それで、今回取り上げたように、前文の理念と各論が矛盾しているようにも見えるのです。

同じ前文に「学習指導要領とは、こうした理念の実現に向けて必要となる教育課程の基準を大綱的に定めるもの」との記述があり、現行と同様、学習指導要領の性格は大綱的であることが確認されています。しかし、「大綱」ではない、「大綱的」とはなんやねん?って感じもします。そのあたりに学習指導要領の抱えるひとつの弱さが現れているとも見えます。

そもそも、あらゆる教育には、押し付けや洗脳的な部分はつきものです。そのリスクも十分考えたうえで実践しなければなりませんし、たびたびの反省も必要です。

さて、理念をきれいごととしてスルーするか、それとも、いいなと思う理念を共有し、具体化して活気ある学校をつくるかは、かなり学校現場の教職員と、それを支援するまわり(保護者や地域等)によってくると思います。新年度を迎えるにあたって、あなたはどうしたいでしょうか?

「事件は会議室で起きてるんじゃないだ」って言うじゃない?どうせなら、新年度も楽しくやりたいものです。

 

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