妹尾昌俊アイデアノート

妹尾昌俊アイデアノート~ステキな学校、地域、そして人たち

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新学習指導要領の移行措置にパブコメしました

小中学校の新学習指導要領の移行に伴う措置等についてのパブコメは、あさって25日、日曜までが〆切となっています。

ぼくは先ほど、次の内容を提案しました。参考までに載せておきます。

意見のある方は提出してみてはいかがでしょうか?

賛否ある話だと思います。妹尾の誤解や不足している点は、またフィードバックをいただけると有難いです。

search.e-gov.go.jp

~先日はこんなテーマで勉強会もしました~

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***以下、提出した意見です***

いつも大変お世話になっております。今回の授業時数の特例について、見直しを求める意見を提出します。

■要旨
総合的な学習の時間の一部を外国語活動に振り返ることができる措置は、総合の時間の重要性を軽く捉えてよいとのメッセージを学校現場に与えかねないため、行うべきではない。

■詳細
総合的な学習の時間の一部を外国語活動に振り返ることができる措置は、小学校の多忙な現状を鑑みた、いわば苦肉の策かと推測します。しかし、これは、誤ったメッセージを国から教育委員会、それに学校現場に伝えることになりかねません。誤ったメッセージとは、「総合的な学習の重要性を軽く捉えてよい」というものです。

今回の特例措置は、総合の時間の趣旨を損なうものではない、と答弁されそうですが、次の点で問題があります。

第1に、小学校現場の実態として、既に総合の時間の形骸化が進みつつある学校もあります。今回の措置は、そんな学校の教職員に、「やっぱり、総合の時間はまあテキトウでよいな」と解釈されてしまう危険性があります。
国や教育委員会が行うべきは、そういう学校に総合もっと工夫して面白くできますよ、と言っていくことだと思います。

第2に、一方で、今も一生懸命、総合の時間の充実を進めている学校もあります。今回の措置は、そういう学校や教員の思いと実践に水を差すものになっています。総合に熱心な学校は、この特例措置は使わなければよいだけだ、と言われそうですが、特例措置を使うかどうかが問題ではなく、この措置で与える国からのメッセージが問題です。

第3に、中教審等の審議との関係です。この特例措置は、十分議論されたのでしょうか?それとも文部科学省内部で検討され出てきたものなのでしょうか?仮に公の場で十分議論されたものでないのだとしたら、中教審なりにこの特例措置の是非を議論してもらうべきではないでしょうか?

第4に、優先順位の問題です。
釈迦に説法ですが、新学習指導要領は、答えのない問いに立ち向かう力や、協働して問題解決する力を伸ばすこと等に、趣旨、主眼があります。総合の時間はこの趣旨に非常にフィットします。教科書がないことに象徴的にあらわれていますが、決まった答えを効率的に出すトレーニングではなく、自分なりに試行錯誤したり、他の児童や場合によっては保護者や地域の方等と協力して課題に取り組む学びの場となりえます。

もちろん、外国語活動でもそうした力を伸ばす場にはなりえますが、①小学生が不慣れな英語等で行う活動と、②総合の時間で母国語で行う活動のうち、どちらがより主体的、対話的で深い学びとなりやすいとお考えですか?ほとんどの子どもや学校現場にとっては、明らかに②でしょう。つまり、削るべきは総合のほうではない、と考えます。

なお、小学校教員の負担の問題は非常に憂慮するべきことですが、それは、外国語活動向けの専任教員の加配など、別の政策的な支援を考えるべき話だと思います。

以上の4点から今回の特例措置は問題が多いと考えます。ぜひお考えなおしていただくことをお願いします。

 

***参考記事***

senoom.hateblo.jp